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イラン政府 エイズ専門家の医師ら拘束
2009/03/02 21:04
イラン政府はエイズ専門家として国際的に知られるイラン人医師アラシュ・アラエイさんと弟のカミアル・アラエイさんに対し、出頭を命じた。アラエイさん兄弟は昨年6月から、「敵国」政府と通信した疑いでテヘラン市内のエーヴィン刑務所に拘留されている。1月13日、Human Rights Watch(HRW)とInternational Campaign for Human Rights in Iran(ICHRCI)が関係筋の話として伝えた。
Ali-Reza Jamshidi司法広報官は記者会見で、2人について「敵国政府と接触したため、刑法508条により起訴した。彼らはアメリカ中央情報局(CIA)と接触、同国当局の訓練を受けてイラン政府を転覆させるためのネットワークを組織していた」と話した。
国際NGOや各国の医療関係者らは、2人の拘束を不当だとして、イラン政府に対し、即時解放を求めている。先月第2週にはニューヨークで、2人の解放を求める2000人以上がイランの国連代表団に問い合わせた。また、現在までに85カ国以上から、エイズ問題に関心を持つ国家指導者や世界エイズ・結核・マラリア対策基金事務局長のミッシェル・カザツキン教授、パートナーズ・イン・ヘルスの設立者のひとりポール・ファーマー博士を含む3100人を超える人が、2人の解放を求めるオンライン署名に参加している。
弟のカミアルさんは、ハーバード大学大学院公衆衛生学系研究科で修士号を取得し、現在ニューヨーク州立大学アルバニー校公衆衛生学系研究科博士課程に在籍。昨年秋に研究発表を行う予定だった。兄のアラシュさんは、イラン国内で1998年から、薬物使用者のハームリダクションに焦点を当てた予防・治療プログラムを展開している。
アラエイ兄弟の活動はイランにとどまらず、アフガニスタンとタジキスタンの医療従事者向けの研修コースを作成したり、中央アジアと中東の12カ国間の連携構築に力を注いできた。2人の活動により、イランは中東地域におけるHIV/エイズ対策の実践モデルとしてWHO(世界保健機関)からも認められていた。(翻訳・編集 Toma) |