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HIV:ヒト免疫逃れるウイルス増加 「変異が原因」解明--熊本大など

 人間の免疫を逃れるエイズウイルス(HIV)が広がっている原因を、熊本大などの国際研究チームが突き止め、英科学誌ネイチャー電子版に発表した。ワクチン開発の戦略見直しが迫られるという。

 HIVに感染すると、人間の免疫細胞が白血球の型である「ヒト白血球抗原(HLA)」と結合したウイルスを攻撃する。その働きで感染した細胞は減少するが、完全に排除できない。

 そこで、研究チームはウイルスが変異して人の免疫から逃れているのではないかと考え、8カ国約2800人の感染者を調べた。

 その結果、HLAと結合するウイルスのたんぱく質が14カ所で変異していることが分かった。日本では約70%の感染者でこの変異ウイルスが検出されたという。

 エイズのために2500万人が死亡し、現在も3300万人が感染していると推定されている。ワクチンは実用化されておらず、HIVが近年悪質になったと言われる。

 研究チームの滝口雅文・熊本大エイズ学研究センター長(ウイルス免疫学)は「ワクチン開発に必要なウイルスは約20年前に見つかったタイプを使っている。戦略を変えてワクチン開発に臨みたい」と話す。【関東晋慈】

毎日新聞 2009年2月26日 東京夕刊

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