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「北朝鮮現代史の理解のため、粛清された人物の研究を」

『崔昌益研究』を出版した慶南大・沈之淵教授

 政治学研究の重鎮・沈之淵(シム・ジヨン)慶南大教授(66)が、北朝鮮の副首相を務めた崔昌益(チェ・チャンイク)の研究書を発行した。最近白山書堂から出版された『崔昌益研究』がそれだ。

 崔昌益(1896-没年不詳)は、1928年の第3次朝鮮共産党事件にかかわり7年近く獄中で過ごした後、中国へ亡命、その後中国共産党の本拠地だった延安で抗日闘争を展開した人物だ。朝鮮義勇軍の組織と独立同盟の創立で主導的役割を果たした崔昌益は、キム・ドゥボン、武亭(ムジョン)らと共に「延安派」の指導者の一人だった。解放後直ちに北朝鮮へ戻った崔昌益は、朝鮮労働党の創立と北朝鮮の政権樹立に積極的に参加し、副首相や財政相まで務めた。しかし1956年、当時のソ連共産党第一書記フルシチョフによるスターリン批判運動に合わせ、金日成(キム・イルソン)主席を批判したところ、反党分子として追われ、粛清された。

 沈教授は「崔昌益が抗日独立運動と北朝鮮政府樹立に寄与した政治家としての面目は失墜し、各種の政治路線を提示した共産主義の理論家にして民族の抗日闘争史を執筆した歴史家としての足跡は跡形もなく消えてしまった」と語った。金日成主席の権威に挑戦したという理由で粛清され、あらゆる記録が抹殺されたからだ。沈教授は「思想的硬直性が極限に達している北朝鮮現代史の研究から脱皮するためには、北朝鮮のさまざまな人物や路線についても関心を寄せなければならないと思い、こうした意味で崔昌益に関する研究は必須だと考えた」と記した。

 沈教授は崔昌益の研究に先駆け、『李康国(イ・ガングク)研究』(2006年)と『李舟河(イ・ジュハ)研究』(07年)を相次いで出版した。いずれも日帝強占期や解放直後の共産主義運動を率いた指導者たちだが、北朝鮮で粛清され、批判される中で忘れられていった。

 韓国の保守政党の母体である韓国民主党(韓民党)研究で初めて学界にその名が知られるようになった沈之淵教授が、北朝鮮で粛清された人々に注目する理由は何か。沈教授は「南北どちらの側でも記憶されていない人物ということで、さらに関心が湧いた。この人たちに対し、韓国現代史の中でしかるべき場所を見出したい」と語った。

キム・ギチョル記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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