新教育の森

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

福岡・梅林中「1コマ25分授業」導入 基礎学力、集中力が向上 /福岡

 福岡市城南区の市立梅林中学校(田村茂校長、371人)は、全国的にも珍しい25分授業を導入している。学校は「集中力が増し、学習する姿勢が身についた」と言い、特に勉強が苦手な生徒の基礎学力向上効果が大きいという。【高橋咲子】

 通常の授業は1コマ50分だが、同校では他に25分、75分、40分の授業時間も設定し、弾力的に運用する。「モジュール学習」と呼ばれる手法だ。実際にどんな授業をしているのか、1年生の英・数の授業を参観した。

 「Yuki is eating」。生徒が唱和すると、すかさず先生が尋ねた。「主語がIになったら?」「Theyだと、どうなる?」。ワークブックの練習問題をテンポよく進める。15分たったところで問題集を片付け、カルタを使って進行形を学ぶ「英語カルタ」を10分間楽しむ。

 続いて数学。休み時間なしで数学担当の先生が授業を始め、立体の体積や表面積の単元をプリントで学ぶ。班ごとに教えあって3問を解き、解答を黒板に書くと、もう授業終了だ。

 25分授業を導入したのは07年9月。田村校長が「週3コマしかない英数を毎日できないか」と考えたのがきっかけだ。1年生が受ける50分の3コマのうち、1コマを25分に分割することで、週4回、英数の授業を組める。25分の日、数学は反復学習を中心に、英語は基本構文の理解や単語習得などに充てる。

 2年生は数学と理科で導入した。週3回計150分の理科を50分、75分、25分に分割。実験には75分授業を充てることで、余裕を持って考察に取り組めるという。数学は50分2回と25分2回の週4回だ。

 また試験前の一週間は、全学年とも40分授業とし、ほぼ毎日「国数理社英」の5教科の授業を設定。テスト範囲のプリントを解いたり、質問コーナーを設けるなど、試験勉強の仕方を学ぶ手助けをする。

 さらに同校は分割授業導入に合わせて、家庭で毎日ノート1ページ分は勉強する「1ページノート」や、国数英いずれか1日1枚のプリント学習をこなす「わんぷり」も始めた。結果、1年時から分割授業を受ける2年生は、08年4月の県の学力テストで平均を大きく上回り、関係者を驚かせた。

 生徒の評判はどうか。学校が過去4回行ったアンケートでは「40分授業は先生が急いでいる感じがした」という声があったものの、「短い時間なので集中できる」「週4回になって前の授業内容を覚えているようになった」など好意的な意見が多かったという。

 一方、先生側は学力向上効果を認めた上で「生徒が25分授業に慣れると50分がきつくなる」などの課題を挙げた。

 田村校長は「特に下位に近い中間層の生徒の成績が伸びた。家庭でも学習習慣が身につき、総合的に基礎学力が定着したのだろう。学習指導要領の改定で4月から主要教科のコマ数が増えるが、今後も形を変えながら取り入れていきたい」と話している。

==============

 ■ことば

 ◇モジュール学習

 元々は建築用語で、80年代ごろから日本でも導入が始まった。授業時間や学習内容の基本単位を柔軟に組み合わせ、学習効率を高めるのが目的。

〔福岡都市圏版〕

毎日新聞 2009年3月7日 地方版

新教育の森 アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報