1999年03月07日
第481話「運命の大学受験XIII」
テーマ:運命の大学受験高校生編非公開部分 及び 美沙最終章『天使の唄』が
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【外伝シリーズ】
浅井武勇伝 / さくら雪(美沙)
12/20(土)更新第5話
BGM(PC限定)
。・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜
最初、彼女は…
なにが起きたのか…
よく分からないという顔をしていたわけで…
それでもしばらく経つと、
ぶたれた痛みをはっきりと自覚したらしく、
赤くなった頬にゆっくりと手をあてる姿に…
すっかり狼狽するオッサンです…
ヽ(;´Д`)ノ
「ご、ごめん。静香…
お、俺…」
慌てて謝ったんだけど…
正直…
すぐに反省して謝罪したっていうわけではなく…
彼女のもの悲しげな表情を目にして
反射的に「ごめん」と出てきただけのことでさ…
ホントは…
どうしよどうしよ?!
(゚Д゚≡゚Д゚)
とパニック状態になっていて、
冷静に反省できるような状態じゃなかったわけで…
赤くなった頬に手をあてて…
呆然と俺を見つめる彼女を見て…
た、叩いちゃったよ…
マジでやっちゃったよ…
俺…
静香を…
叩いちゃったよ…
あ…
ああああ…
あああああああああああ…
嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼あああああああああああああああああああああああああああ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…
嗚呼…
_| ̄|○
ってのが、リアルな俺の心の動きデス…
お、俺さ、言い訳するつもりはないけどさ、
今まで女の子なんかぶったことなかった。
男より弱くて当然の女の子に
暴力をつかうなんて最低だと思ってたし、
そんな卑劣な人間にだけには
絶対になりたくないって思ってた。
たとえどんな理由があったとしても、
どんなに酷い『言葉の暴力』を受けたとしても、
『男の暴力』は絶対に許されないものだって
そう思ってたし、ずっと守ってた。
なのに…
なのに…
サイテーだ…
_| ̄|○
やったあとで後悔したって
なんにもならないのは百も承知だけど、
後悔することしか出来なかった。
後悔するぐらいなら、
ちょっと我慢すればいいだけのことだったのに。
人はそう言うかもしれない。
俺自身も、冷静に考えれば、
その通りだなって思う。
だけど…
その、『ちょっとした我慢』が出来なかった。
どうしてかって…?
俺が…
我を忘れて彼女をぶった理由。
それは…
静香が…
『彼女』に触れてきたから―――
そう、それしかない。
どうして…
どうして今頃美沙のことに触れるんだよ?
そう思ったんだ。
静香は…
普段は口にしてないけど、
何気に美沙のことを気にしていて、
罪悪感を持っていることは知ってた。
静香はなにも悪くないし、
俺も今、美沙のことをなにも想ってない。
そう何度も説明してきたけど、
静香が完全に納得していないことも分かっていた。
だけど…
いつまでもそんな過去に引きずられてたって
何の進展もないわけでだし、
後ろ向きでいるよりも、
もっと前向きになって生きていきたいって…
静香と新しい人生を笑って進んでいきたいって…
そういう俺の気持ちを、
静香も分かってくれてるって思ってた。
静香だったら…
俺の気持ちを分かってくれてるはずだって、
そう願っていたから…
だから…
あんな風に美沙のことを持ち出されて、
思わず、カ~ッとなってしまったんだと思う。
手が出てしまった理由。
これが俺の言い分なんだけど…
でもそんなことはどうでもいい。
男が女を殴った。
これがすべて。
俺が最低な男だってことは変わらない…
「ホントにごめん…」
さらに重ねて謝ったんだけど、
静香ちゃんは…
「………」
ず~っとだんまりのまま。
そりゃそうだと思う。
大切に育てられた一人娘の彼女にとって、
俺から殴られたことがどれだけショックだったか、
俺にだって分かる。
きっと裏切られた想いでいっぱいなのかもしれない。
こんなヤツとは、さっさと別れちゃったほうが
正解なのかもしれない。
そう思ってるかもしれない。
それどころか、こんな最低な男とは、
もう口も聞きたくないって思っているかもしれない。
お父様に引導渡される前に、
自分で墓穴掘っちゃったな…
ホント俺って救いようのないアホだ…
凹むオッサンが
ハァ…
世の中の終わりを嘆かんばかりに
大きな大きなため息をついたとき…
「ううん…
わたしが悪かった…
私が言い過ぎたのが悪かったの…
奥さんのこと、あんな風に言うなんて、
私、最低だよね…
せんせぇがどういう気持ちで離婚したか
分かってくるくせに…
わたし…
わたし…
本当に最低だ…
せんせぇが怒って当然だと思う。
ホントにごめんなさい…」
え………
「ごめんなさい、ごめんなさい…
せんせぇを困らせてごめんなさい…
ううっ…お願い…
私のこと…嫌いになったりしないで…ひっく…」
ええええ?!
(;゜Д゜)
な、何故、お前が謝る…(汗)
ってか、そこまで泣くことないだろ…(大汗)
思わぬなりゆきに戸惑いながらも、
女の子に泣かれるのは、
と~っても居心地が悪いオッサンは
速攻で涙腺を止めにかかりました。
「な、泣くなよ…
お前が悪いわけじゃないだろ?
叩いたりしてホントごめん。悪かった。
もう2度とこんなことしないから。
だから、な? 頼むから泣くのやめよ…」
「私が…悪いんだもん…ひっく。
奥さんのことなんか口にして、
わ、わたし、ひっくひっく、ホントに最低だ…ううっ…
叩かれて当然だもん。
せんせぇが怒って当然だもん。
せ、せんせぇを困らせたうえに、
あんなことまで言って…
わたしのこと、嫌いになったよね…?
ううっ…」
「い、いや、別に俺は嫌ってなんかないよ。
ってか、悪いのはホントに俺のほうだから…」
「嘘だ嘘だ。
せんせぇ、私のこと嫌いになったに決まってる」
「き、嫌うわけないだろ?
俺が嫌われたかと思ったぐらいだし…」
「そんなことない。
私が悪いんだから、私が嫌われたはず」
とまぁ、俺のセリフを消化しないままリターンされてしまい、
さっぱり会話が噛みあわないのに加えて…
「せんせぇに嫌われた、嫌われた~」って
え~んえ~んと大泣きを始めた彼女の前に
説得活動など無意味なものになってしまい…
結局、彼女の興奮がおさまるまで
待つことになったのデス…(汗)
で…
ある程度沈静化して、静かになった静香ちゃんを
(オヤジギャグじゃないよ…)
ヒーターのきき始めた応接間に座らせたあと、
「あのさ、ちゃんと聞いてほしいんだ…」
黙ってコクリと頷く静香に続けて、
「俺はさ、前にも言ったとおり、
お前のこと、いい加減に思ったことは一度もないよ。
どうでもいいなんて思ったことは一度もない。
俺は…
受験の前にも言ったよね?
俺がお前のことを本気で想ってる証拠…
ってわけじゃないけど、俺…
お前と結婚したいって、そう言ったよね?」
いつか…
許されるなら、この子ともう一度新しい人生を歩んでいきたい。
本気でそう願っていた。
静香は…
「そ、それはそうだけど…」
と前置きしたあと、でもやっぱり納得できないよ、という顔で、
「でも、私、不合格だったんだよ?
約束どおり別れさせられたら、
結婚なんて夢の夢なんだよ?」
彼女の想い。
本気で俺と別れたくないっていう、静香の想い。
痛いほど伝わってきやがる。
「お前の気持ちは分かるよ。
俺も正直、お前の誘いにグラッときたよ…
このままお前と別れたくない。
こんなに愛しているのに、
約束だからってだけで別れたくない。
それでも無理矢理別れさせられるぐらいなら、
せめてお前と結ばれたい。
そう思ったさ…」
お父様からの電話が
あのタイミングでなかったら、
俺は…
ってことになってたからね、多分…(おいっ)
「けど…」
今とはなっては本気で思う。
「血迷ったことしなくて
本当に良かったって思ってる」
すると彼女は…
なんで…?
なんでそんなこと言うの…?
って悲しそうな顔をしてさ…
「やっぱり…
やっぱりお父さんが怖いんだよね…
お父さんとの約束のほうが
私より大事なんだよね…」
ぼそっと言うわけであり…
なんか…
悔しかった。
自分の想いが伝わらない
『もどかしさ』って言うんだろうか?
静香には…
静香だけには分かってほしいと思うから…
もどかしてたまらなかった。
違うっ!!
そんなんじゃないっ!!
お父様との約束はもちろん大切だけど、
静香より大切、だとか、
そんなんじゃないっ!!
「そうじゃない。
どんな約束よりも、お前のほうが大事に決まってる。
世界のなによりもお前が一番大事だよ」
「嘘っ!!」
「嘘じゃないって!!」
「だったらっ!!!
だったら…だったら…
私と赤ちゃんつくろうよ…
それしか交際を認めさせる方法ないんだよ?」
「い、いや、それは…」
「せんせぇ…
わたし、もう18だよ?
法律でも認められてる年になったんだよ?
誰と自由に恋愛したっていいんだよ?
わたしとせんせぇの恋愛を誰にも
止める権利なんか誰にもないんだよ?
例え…
それがお父さんと
お母さんであっても」
静香の瞳が…
語ってた。
私はお父さんのものでもお母さんのものでもない。
私は私のもの。
私の人生は私が決めるんだ、って…
そう語ってるように見えた。
いつもにもまして…
本気なんだなって分かった。
だから…
俺も本気で応えなければならない。
「静香、あのな…
俺、お前と結婚したいって思ってるし、
お前とのあいだに子供が出来ればいいなって
冗談抜きで本気で思ってる」
・・・・・・!!!
一瞬、目を輝かせて、
何か言おうとした彼女に…
「でもなっ!!」
先制して、彼女の言葉を遮ると…
「子供は…
赤ちゃんは…
結婚のための道具じゃ
あっちゃいけないって思うんだ。
愛し合った男女が授かる大切な宝物なんだよ。
結婚するための手段として
子供を生むってのはやっちゃいけないことだと思う」
「い、いや、でも…
最初は確かに手段だったかもしれないけど、
できた子供を可愛がらないわけじゃないし、
愛情いっぱいで育てれば別に…」
「違うんだ…
そういうことを言ってるんじゃなくて…
俺は…
生まれてくる子供がすべての人たちに
望まれてできたものであってほしいって
そう思うんだよ」
「………」
「交際を認めさせるために子供を作ってさ、
仮にそれで結婚を認めてもらったとしても、
初めて赤ちゃんを見たご両親はなんて思う?
新しい孫の誕生を素直に喜んでくれる思うか?
俺のことを恨むのはいい。
でも、子供のことを恨まれたりしたら…
お前、悲しくないか?
そうなるの分かっていて、
それでも子供が欲しいか?」
「………」
彼女は…
唇を噛み締めたまま、
無言でうつむいたんだけど…
それ以上なにも言わなかったのは…
完全に納得できないまでも、
俺の気持ちを汲み取ってくれたからだと思う。
これまでも、静香を奪うチャンスは何度もあった。
だけど、頑なにそれを拒んだのは…
すべては静香に幸せになってもらうため。
ご両親の気持ちを得られずして、
静香の幸せなんてありえるわけないって分かってたから…
そんな俺の気持ちを、
彼女もまた改めて分かってくれたんじゃないかって
そう思うんだよね…
「じゃあ…
家に送ってくよ…」
簡単に背広から私服に着替え終えて、
そう言うと…
すくっと立ち上がった彼女は…
「分かった…」
と、一言。
これ以上、話を蒸し返すこともなく、
素直に頷いてくれた静香ちゃんに、
ちょっぴりホッとするオッサンです。
アパートを出て、駐車場に向った二人は
オンボロ車に乗り込むと、
ご両親の待つ小川邸に向ったのでした。
次回も…
24時間期間限定公開です!!
あと数回で24時間も終了デス。
もうちょっとだけお付き合いしてネ。
【問題】
静香の家の前に車をとめたとたん、
玄関が開き、出来てたのはご両親。
バタンとドアから静香が出た瞬間―――
あ!!!!!!!!!
ご協力お願いしま~す♪
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