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大相撲八百長報道、「週刊現代」に1540万円賠償命令

2009年3月5日15時33分

 大相撲の八百長疑惑を報じた「週刊現代」の記事で名誉を傷つけられたとして、日本相撲協会の北の湖前理事長と同協会が発行元の講談社(東京都文京区)や記事を書いた武田頼政氏らに計1億1千万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が5日、東京地裁であった。浜秀樹裁判長は「裏付け取材が不十分だ」として計1540万円の高額賠償と、記事の取り消し広告を同誌に1回掲載するよう同社側に命じた。

 問題となったのは、同誌が07年3月10日号で掲載した「北の湖理事長がナメられる『八百長相撲』の過去」と題する記事やその広告など。当時の北の湖理事長が、現役時代の75年春場所千秋楽で、数百万円を受け取って相手の貴ノ花(故人)に勝たせ、初優勝させた▽協会内では横綱が下位力士から勝ち星を買う伝統がある――などと報じた。

 講談社側は、貴ノ花の元夫人が武田氏に話したとする内容を根拠に前理事長が八百長をしたと主張したが、判決は「元夫人が話したという内容はにわかには信用しがたく、客観的裏付けもない」として、真実とは言えないと判断した。また、「故意による無気力相撲の懲罰規定を協会が設けていることは、八百長の存在を実質的に認めている」という講談社側の主張についても、「それが直ちに八百長があることの裏付けとはならない」として退けた。

 さらに判決は、「『世紀の一番』ともいわれる名勝負が八百長だとする記事が、センセーショナルな衝撃を与え、協会側の社会的評価を著しく損なうことは明らかに予想された」と指摘。それにもかかわらず、武田氏が前理事長に対する直接取材をしないまま講談社側が掲載したことを厳しく批判した。

 同誌の八百長報道をめぐっては、朝青龍など力士らが約6億4千万円の損害賠償を求めた訴訟など、ほかに2件が同地裁で争われている。

 週刊現代・乾智之編集長のコメント 大相撲の浄化の流れに逆行する判決であり、到底納得できない。

 日本相撲協会のコメント 正しい判断だ。取り消し広告まで認められたのは、裁判所が記事の悪質性を認めたからだと思う。今後一層、土俵の充実に努力していく。

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