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小沢・民主代表:秘書逮捕 記者会見 冒頭発言(全文)/質疑応答(要旨)

 民主党の小沢一郎代表の4日の記者会見は次の通り。

 ◇冒頭発言(全文)

 今回の問題について、私から報告と説明をいたします。まずこの度、私の秘書である大久保(隆規容疑者)の逮捕を含めて、西松建設からの政治献金にかかわる関連のことで強制捜査が行われたわけですけれども、強制捜査の根拠を聞きますと、その政治団体からの献金か、あるいは企業からの献金か、その認識の違いを根拠にし、企業からの献金を認識した上で虚偽の記載をしたという検察の言い分のようです。

 このようなこの種の問題で今まで、逮捕、強制捜査というようなやり方をした例は全くなかったと思います。まさに検察の強制捜査の、今回は、普通の従来からのやり方を超えた異常な手法であったと思っております。また、衆議院の総選挙が取りざたされているこの時期において、このような今までやられたことのなかったような異例の捜査が行われたことに関して、私は非常に政治的にも法律的にも不公正な国家権力、検察権力の行使だというふうな感じを持っております。

 事実関係について申し上げますけれども、私ども政治家は皆、国民の皆さんから、法人であれ、個人であれ、献金をいただいて、その浄財でもって政治活動をやってきているわけです。私は、その皆さんからの浄財を、収入、献金の入りも出も、支出も含めてすべて公開してきております。従いまして、この二つの政治団体から献金を、寄付を受けたということについては、これも政治資金規正法にのっとって適法に処理し、報告をし、公開されているところです。献金を受けたということはその通り事実です。私は、秘書からの報告につきましても、この政治団体が寄付をしてくれる、ということでしたから、政治資金管理団体で受領することにしたということで、私は最も当たり前の、当然のことだろうと解釈をしております。

 もし、これが西松建設そのものからの企業献金だという認識に立っているとすれば、政党支部は企業献金を受けることが許されておりますので、政党支部でそれを受領すれば何の問題も起きなかったわけで、私どもの資金管理団体の担当者は、それは政治団体からの寄付という認識のもとであったから、政治資金管理団体として受領したということであったと報告を受けておりますし、また、私はそれはしごく当たり前のことだろうと思っています。献金していただく皆さんに、そのお金の出所や、いろいろな意味において、そういうことをお聞きするということは、それは好意に対して失礼なことですし、通常、これは政治献金の場合だけじゃなくして、私は、そのようなせんさくをすることはないだろうと思っております。

 私どもとしては、全く政治資金規正法にその通り忠実に、それにのっとって報告をして、オープンになっている問題で、このような逮捕を含めた強制捜査を受けるいわれはないと考えております。このような、いわゆる検察権力、国家権力が、こういう形で強制捜査を行う。この種の問題でこういう形で行うということは、私は、普通の民主主義社会においてはあり得ないことだと思います。日本の場合でもこのようなことは前例がなかったわけであります。

 私が今回のことで一番心配していますのは、このように強制力を持つ公権力が、思うままにその権力を行使するというようなことが今後もまた行われるということになれば、私は本当に国民の皆さんの人権を守ることができませんし、社会は暗たんたるものに陥ってしまうだろうと思っておりまして、日本の民主主義の成熟の、ということを考える上におきましても、今度のこの種の問題で逮捕、強制捜査というやり方は、大変民主主義を危うくするものであり、公正さを著しく欠くものであると考えています。

 私としては、なんら政治資金規正法に違反する点はありません。さらに付け加えて言えば、その献金が何らかの形で、私や、私の秘書が相手方に対して便宜を供与したとか、あるいは何らかの利益を与える行為を伴っていたということがあるとするならば、それは私は甘んじて捜査を受けます。しかしながら、私も私の秘書も全くそういう事実はありません。従いまして今回の強制捜査については、その公正さについて納得がいかない。疑いを抱かざるを得ない、というのが私の現時点での認識です。

 事実関係は皆さんもご存じの通り、ごくごく単純簡単なものですから、おわかりのことと思います。これ以上の事実関係の説明は、ありませんし、不要だと思います。

 ◇質疑応答(要旨)

--代表辞任が不可避という声があるが。

 小沢氏 私自身として何らやましいこともありませんし、また、私の秘書の行った行為は政治資金規正法にのっとって適法にきちんと処理し届け出た。そして公にされていることですので、私としては、それによってどうこうということを考えてはおりません。

--献金を受けた時に、お金の出所が西松建設と知らなかったか。

 小沢氏 大久保の話によれば、政治団体からの献金という認識だったから、政治資金管理団体でそれを受領したということに尽きると思います。

--公設第1秘書逮捕の事態は民主党に大きな衝撃。次期衆院選への影響は。

 小沢氏 私は、政治献金については収入、支出、入りも出もすべて公開しています。今回問題になっている献金も全部報告してきちんと処理しています。従って、遠からず嫌疑は晴れると信じており、そのことで少なくとも私自身と民主党に対する国民の皆さんの疑念は晴らすことができると思っております。

--なぜ小沢代表の秘書がターゲットに?

 小沢氏 全く分かりません。私は今、野党第1党の党首をしています。そして政治献金に関しては何度も言うようにすべて法にのっとって報告し、オープンにしております。たぶん収支を全部オープンにしているのは私だけではないかと思ってますが、それにもかかわらず、このような一方的なこじつけたような理由で検察権力の発動ということは、政治的にも法律的にも公正を欠く行為ではないかと感じています。

--謝罪の言葉は。

 小沢氏 私は何らやましい点もありませんし、政治資金規正法にのっとって正確に処理し、収支も全部オープンにしております。従って今回秘書が逮捕される、強制捜査を受けるという点については全く合点がいかない、理解できないことです。必ず近いうちに嫌疑が晴れ、私どもの正当性が証明されると思っておりますので、おわびする理由は見当たらないと思っています。

--起訴されても、考えは変わらない?

 小沢氏 私は起訴などということがないと信じております。

--結果的にゼネコンから非常に多額な資金が出てきた。国民有権者の中に、自民党と同じような体質があるのではないかという声が広がっているが。

 小沢氏 私は、大変大勢の個人の皆さんからも献金をいただいてますし、ゼネコンだけじゃなくその他の企業からも身に余るほどの献金をいただいております。私の考えですが、献金はどこから受けたってかまわないけれども、どこからいただいて何に使った、すべて公開しろ、そしてそれを国民が見て判断できるような仕組み。行政もそう。なかなか真実をオープンにしない。そういう社会の体質が良くないと思っています。私の主張はあくまでも明朗、公開、オープン。そしてそれが妥当かどうかは国民、主権者が審判を下す、というのが民主主義のあり方だと思っておりますので、今の自民党と同じ体質だという意見は全く心外です。私はずっと以前から全部公開しろと言ってきました。自民党はそれをひたすら嫌がってきたのです。年金や医療、社会保険庁の行政を見てもそう。全部隠してきたじゃないですか。日本社会をよりオープンにして、国民が判断する材料を提供すべきだというのが持論です。

--4年間で2100万円、背景は調べないのか。

 小沢氏 一般的に言って、献金してくれるという方について、どういう所から出ているのかというたぐいは、せんさくはしないのが大多数だと思っている。献金してくださる皆さまの善意を信じてやっているというのが現状だと思います。その献金そのものが違法であることが明らかになった時には返金するということでけじめをつけているつもりだ。西松建設の中で違法な形で作られたお金であったとはっきりした時点で、返却するつもりです。

--説明が今日まで遅れた理由は。

 小沢氏 意図的に遅らせたわけでもありません。全く予期しなかったことで、大久保がどうなってんのかわかりませんし、そういったことを問い合わせたりしてる間に時間が経過した。今日は役員会でお話しし、そのすぐ後に皆さんにご報告しているということだ。

--捜査の過程で主張が覆った場合は。

 小沢氏 私は覆ることがないと、必ず近いうちに嫌疑は晴れる、正当に適法に対応してきたということになると信じております。

--原資が不当であれば返却する。

 小沢氏 そうです。過去にも水谷建設だったかな、嫌疑が確定した段階できちんと返却しました。今まだ確定してないでしょ。確定したときにはそのつもりでおります。

--陸山会の代表者、監督責任者としてチェックしているか。

 小沢氏 政治家は1人で政治活動全部やることは不可能です。スタッフ、秘書のサポートを借りながら活動を続けている。民主党代表として、全国一生懸命国民に語りかけ、我々の政策を理解していただく努力が最大の任務と思って就任以来やってきた。細かな政治献金の一つ一つについて私が全部チェックすることはやってません。秘書を信頼してやる以外に不可能なことで、全体の報告は受けてそれを了としてきているが、個別の一つ一つに目を通す、時間的、能力的余裕はない。

--西松のにおいすらしなかったのか。

 小沢氏 政治団体としての献金だという認識で処理したと報告を受けておりますので、私は、秘書がそのまま受け取ったということについて至極自然と思っております。

毎日新聞 2009年3月4日 東京夕刊

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