県内で昨年、重症以上の救急患者の約2割が、病院に搬送されるまで1回以上、受け入れを拒否されていたことが3日、分かった。中には13病院をたらい回しにされたケースもあった。県議会総務常任委員会で、県が救急搬送の受け入れ実態調査を明らかにした。
県消防保安課によると、調査は11消防本部の救急搬送を対象に実施。重症以上と産科・周産期、小児の患者に対する医療機関の受け入れ状況を調べた。
救急搬送されたのは6万1609人(転院搬送除く)で、3週間以上の入院治療が必要な重症、もしくは診断時に死亡が確認された患者は7430人。このうち搬送先が決まるまでに2回以上の照会を要したのは1467人で、全体の19・7%に上った。07年は17%で2・7ポイント悪化した。
高崎市等広域消防局が搬送した慢性アルコール中毒患者の男性(42)は平日未明に自宅で吐血し救急隊が駆け付けたが、「専門外」や「ベッド満床」を理由に12病院から受け入れを断られ、現場滞在は1時間15分に及んだ。
重症以上の受け入れ拒否の理由は「ベッド満床」が654件(25・2%)で最多。「手術・患者対応中」が501件(19・3%)、「処置困難」が459件(17・7%)と続く。また、産科・周産期で2回以上照会したのは15・2%、小児は20%だった。同課は「医師不足で、救急現場の現状は依然として厳しい。今後も受け入れ可能な医療機関の把握に努めたい」としている。【伊澤拓也】
毎日新聞 2009年3月4日 地方版