医療経営情報紙 Japan Medicine じほうホームページへ

  ▼ 記者の視点
2009.3.4号を読む 2009.3.2号を読む 2009.2.25号を読む


医薬品共同購入の動きが活発化
実現には組織力と工夫が不可欠
2009.3.4

 全国規模の病院グループの間で、医薬品共同購入の動きが活発化している。国立病院機構に続き、今年から全国社会保険協会連合会が開始した。また、全国自治体病院協議会や全国の国立大病院、日本赤十字社なども将来的に実施することを目指している。いずれもスケールメリットを生かして薬剤購入費を圧縮することによって、経営の改善を図ることが狙いだ。これら病院グループの薬剤購入金額は大きく、国病機構や全社連に続き、全自病や国立大病院、日赤などでも始まれば、医薬品業界に大きなインパクトを与えることは必至だ。

●経営改善に成功したグループも

 医薬品共同購入は、傘下施設の医薬品価格交渉を本部が共同入札方式で一括して行い、各施設で契約するなどというもので、国病機構は2004年から共同購入を開始。現在は145施設すべてを対象に行っている。

 傘下施設の採用医薬品の標準化や絞り込みを進めて「標準医薬品リスト」を作り、それに掲載した品目(購入量が少ない品目など除く)を入札の対象としている。06年は7562品目、08年は5978品目で入札を実施。10年に次回入札を行う見通しだ。

 全社連は今年1月から、傘下のすべての社会保険病院や厚生年金病院計52施設を対象に開始した。全採用医薬品約1万品目のうち、まず購入金額が大きい352品目で実施。採用薬の絞り込みを進めた上で、10年度から原則として全医薬品に拡大する方針だ。

 全国972施設が加盟する全自病も今年から検討に着手した。現状分析をした上で、<1>全国一律<2>ブロック単位<3>都道府県単位−など、どのような方法が可能かを探る。1年以内に結論を出す見通し。

 また、全国45の国立大病院も来年度から検討を開始する。全国一括や地域ごとでの実施などを選択肢の1つとして視野に入れて検討を進める。今年中に一定の結論を出す。

 全国に92施設を持つ日赤は、後発品の共同購入を検討している。

 共同購入は実際に経営的なメリットがあるのかどうか−。国病機構は、「機構全体の収支は04年度は赤字だったが、05年度以降は黒字に転換した。これを実現できた要因の1つは共同購入だ」と話す。

 全社連も「年間薬剤購入費(約400億円)を約1%圧縮できた」としており、共同購入が経営改善につながることは確かなようだ。

●ハードル越えないと実現難しい

 ただ、共同購入の実施にはいくつかのハードルがある。特に採用医薬品の絞り込みについては、個々の施設で考えが大きく異なることもあり、意見を1つにまとめるのは容易ではない。

 価格設定についても、共同購入では、もともと安い価格で購入していた施設の購入価がかえって高くなってしまうケースもあり、すべての施設を説得するのは簡単ではない。

 国病機構や全社連では、組織力や各種工夫によって傘下施設を1つにまとめ上げ、これらの課題をクリアした。例えば、国病機構では、採用医薬品の絞り込みに当たって、傘下施設から専門領域の医師や薬剤師を集めて議論し、その結果を伝えることで、すべての施設の理解を取り付けた。

 全社連では、価格設定に当たり、予定価格や施設全体のメリットを早い段階から説明するなどの取り組みを行った結果、購入価が従来よりも高くなった施設も納得してくれたという。 

●製薬企業や卸は動向に注意を

 では、ほかの病院グループでも同じようにうまくいくのだろうか−。国病機構が共同購入を実現できた背景にはほかの病院グループと比べて組織力が強いということもある。経営母体が異なる病院の集まりである全自病や国立大病院、独立採算のため傘下施設の意見調整に苦労しているともみられる日赤などが「実現させるのは簡単ではない」との見方もある。ただ自治体病院、国立大病院、日赤病院などでも経営改革は待ったなしの状況にあり、あきらめるとは思えない。

 共同購入は、病院にはプラスになるが、納入価の低下、採用医薬品や卸の絞り込みなど製薬企業や卸にとっては厳しい要素が大きい。製薬企業や卸はこれら病院グループの動向に注意を払い、対応策を練っておくことが必要だ。(佐藤 慎也)


All documents,images nd photographs contained in this site belong to Jiho,inc.
Using these documents, images and photographs are strictly banned for any purposes.

Copyright (C) 2009 Jiho,inc.