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鍛錬なくして資質開花なし…西武・岸孝之投手

清水満のSPORTSBAR

 野球では、肩は消耗品だという考え方がある。メジャーで確立された先発は100球をメドに交代し、中継ぎ、抑えという肉体を守るための“制限”と“休養”は確かに理にかなっている。

 日本シリーズで、西武・岸孝之投手(23)の熱投はすごかった。第4戦で先発完封、中2日の休養後、第6戦で救援というフル稼働は、人々の心を打った。シリーズという舞台がそうさせたのだろうが、“過保護”だけだったら、決して資質も開花することはなかっただろう。

 「ちょっとお前、投げてみろっ!」

 大学2年の時、監督から呼ばれた。チームの投手不足を補うため、野手練習していた肩の良さそうな男に声がかかった。ブルペンで100球、200球…。必死で投げる。そのうちに監督は居眠りをした、という。目覚めた監督が手に持っていたカウンターは100球に満たない…。監督とは島岡吉郎(故人)、絶対君主制的な存在。「これだけしか投げてないんか…」という言葉に、理不尽だが逆らえない。男は、来る日も来る日も投げ続けた。

 「けど、あの時の投げ込みで“強い肩”ができたと思います」。こう明大時代を述懐したのは鹿取義隆氏(51)。30年以上も前の話である。ソレが巨人、西武で19年間の野球人生を形成させた。755試合に登板、連投につぐ連投でチームに大貢献、耐えた肩は鍛えたからこそだと…。

 話を戻そう。

 岸は食が細く、180センチと長身ながら68キロ。太れない体質というが、よく走ると聞く。ソレがスタミナの源なのか、大学進学に際して、仙台六大学リーグの王者・東北福祉大を倒すため、あえて東北学院大に進む。3連投して東北福祉大の35連覇を阻止、チームを栄光に導いた。

 資質だけでなく、肉体を酷使する鍛錬なくして、この芸当はできない。「うまい選手はいっぱいいる。けど、“強い選手”がいないんだよね」と巨人・原辰徳監督(50)がよく口にする。岸にはプロで求められる『資質と強さ』をちょっと見た気がした。

 ゴルフ界の新星、石川遼(17)が先週末の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で5位、3週前は優勝もした。17歳は「いまは鍛えるしかない。練習はウソをつかないし…」。この1年間で体重は13キロ増、ウエストを絞り、体脂肪は5〜6%台へと肉体改造した。確かに肉体は消耗品であるが、鍛えることで“大きく”なれる。

 せっかくの資質、無駄にして欲しくない…。

ZAKZAK 2008/11/22

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