東京に住む映画監督の韓国人女性(44)から電話があった。07年2月に日本の大学を休学し、韓国軍に志願入隊した長男(21)を主人公にした映画の撮影が、長男の帰国とともに終了したという報告だった。私が「オモニ(母)」と呼ぶ監督は「日本の息子の声も聞きたくなって」と声を弾ませた。
長男が兵役に就く間、監督は映画の一部に青森ねぶた祭を入れることにし、何度も青森を訪れた。そこで出会った私は「日本の息子」となり、いつも一緒に行動していた。監督は韓国の家族を呼び寄せるなど、家族全員を紹介してくれたが、長男は映像でしか見たことがなかった。「(長男に)会いに来てね。これからはお兄さんになってね」。なんだか照れくさくなった。(秀)
毎日新聞 2009年2月19日 地方版