バンコク(CNN) タイ当局が近く、ミャンマー(ビルマ)から逃れて同国に滞在している少数民族の難民のうち、78人を送還することが明らかになった。アピシット首相がCNNに語った。国際人権団体などから、送還後にミャンマーで虐待を受ける恐れがあるとの声が上がっている。
首相は「わが国の法律は不法入国者の滞在を認めていない。法に従って帰国させるしかない」と説明している。
送還されるのは、ミャンマーのイスラム系少数民族、ロヒンギャ族の男性66人と少年12人。入国管理当局者によれば、現在はタイ南部ラノーンの病院に収容されていて、出国の日程は未定だという。
ロヒンギャ族難民は政府による弾圧を逃れ、タイやマレーシアなどの近隣諸国に流れ込んでいる。最近では、海岸に漂着する難民の船をタイ国軍が追放しているとして、国際社会からの批判が集中した。アピシット首相は「過去にそのような事例があったことは遺憾だが、現在は行われていない」と述べた。
送還される少年らについては、アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチが、ミャンマー軍政による収監や虐待を懸念している。アムネスティのベンジャミン・ザワッキ氏は「送り返された難民が拘束された例があるのは事実。少年らは軍政の取り調べを受けており、身元や家族の住所も把握されている。命が危険にさらされる可能性さえある」と話す。
ロヒンギャ族難民の問題は、26日からタイで開幕した東南アジア諸国連合(ASEAN)会議でも取り上げられる見通し。会議にはミャンマーから首相、外相が参加するが、軍政トップ、タン・シュエ国家平和発展評議会議長の出席は予定されていない。