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「財政か景観か」 ベネチア、自販機設置めぐり論争

2009年2月28日17時57分

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 【ローマ=南島信也】水の都ベネチアで、清涼飲料水の自動販売機設置をめぐり、「財政か景観か」で熱い論争が起きている。財政難にあえぐ市当局がコカ・コーラの自販機設置を認めたのがきっかけ。「巨大企業が自販機でベネチア侵略の準備をしている」(23日付ラスタンパ紙)など、反発が広がっている。

 世界遺産にも指定されているイタリア北部のベネチアは、地盤沈下や地球温暖化などの影響でしばしば浸水する。水没を防ぐために、アドリア海とつながる水路に可動式の水門を建設する「モーゼ計画」が進められている。だが40億ユーロ(約4800億円)前後にのぼるとみられる総工費の一部を負担する市の財政を圧迫。市は自販機を設置するコカ・コーラ・イタリア社から5年間で210万ユーロ(約2億5千万円)を得る契約を今週中にも交わすことにした。

 これに対し、地元飲食店や市民は「景観を損なう」と猛反対。一方、市側は23日、自販機60台を水上バス乗り場など限られた場所だけに設置する方針を明らかにし、「サンマルコ広場のような公の場所には設置しない。どこが侵略なのか」と反論した。

 イタリアではサンマルコ広場やローマのスペイン階段といった名所旧跡での飲食が禁止されているなど、歴史的建造物を守るための規制が厳しい。またコーヒーや清涼飲料水、軽食を提供する飲食店「バール」が16万軒近くあり、飲料水の自販機はほとんど目にしない。このほかハンバーガーやコーヒーのチェーン店への拒否感は根強く、欧米のファストフード文化にとっては防波堤が高い。

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