民放テレビ各局は20日、大相撲に故意による無気力相撲の存在を示唆するとする録音テープの内容を放送した。
公表されたテープは平成3年9月6日、東京・両国国技館に全関取、親方衆を集めて開かれた緊急会合の内容。冒頭、二子山理事長(当時、元初代横綱若乃花)が「頭の中でとめていただきたい」などと切り出し、後の理事長で当時は監察委員長だった出羽海理事(元横綱佐田の山)が「簡単に金で手に入れるということは、けいこも何もしなくていい(ことになる)」とした上で、「故意による無気力相撲に関連した者は相当な処罰をする」などと強硬姿勢を示した。
会合は、週刊誌で八百長疑惑が実名入りで報道され、秋場所を前に、二子山理事長が「この数場所の相撲でも不満の残るものがあった」として、緊急招集して行われた。席上、「理事会の結果、敢闘精神に欠けたものは3日間の出場停止とすることが決まった」とも発表された。
このテープは、「週刊現代」の八百長報道を巡り日本相撲協会などから損害賠償を求められている講談社が運営するホームページ上で12年3月、公開された。今回の訴訟で講談社側の代理人は今月16日、「板井(元幕内)という者がテープに録って、それを起こしたもの」を証拠として提出すると証言している。
現在の監察委員長、友綱親方(元関脇魁輝)は「八百長の存在を直接証明する証拠にはならないだろう。(証拠として裁判所に)出すな、とはいえない」とした。