2009. 2. 28  Sat.
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漫画家に訊く! 〜ぶっちゃけそのへんどうなんスか!〜 第15回 入江亜季さん part.1 フリーキーワード フリーキーワード

ビームの作家陣から、ひとりをフィーチャーし、編集部やカンビームメンバーからの質問に答えてもらおうというこのコーナー。
(今回、公開が遅くなってごめんなさい!)

第15回目のゲストは、ビームでの初連載作『群青学舎』がめでたく単行本化された入江亜季さん! 個人誌で発表された傑作長編作『コダマの谷』も一緒に好評発売中でございます。

「最近凝っている」という和服で登場してくれた入江さん、一問一問照れつつ、深く考えながら、質問に答えてくれました。単行本のカバー用に描きおろしたカラーイラストと共にご堪能ください。
(イラストは小さいですけど、そこは許して!)

ではさっそく! part.1は漫画についてのお話です。そうそう、part.3公開時にスペシャルプレゼントを用意してますので、そちらもお見逃しなく!

(以下、【 】内→質問/太字→入江亜季さん回答/なお、【 】の後ろにメンバーの方のお名前がないものは、編集部で用意した質問です)

    


【漫画家になろうと思った時期と、きっかけを教えてください】 (D地さんより)

高校3年生の夏休みですね。その時期って、いくらなんでも進路を考えるじゃないですか。でも香川県の高校生に美大っていう選択肢はまずないんですよ。漫画家って職業じゃないんですよね。漫画家を相手に仕事する人――漫画家に仕事を頼む人――がいないから、漫画家という職業が認知されないんです。
だからいまだに「いつ帰ってきて結婚するの? まだやるの?」とか、時々言われますね。


モリオカ:漫画を描いてゴハンを食べてるっていうのは、伝わりにくいんですね。出来上がった単行本は、見せたりしました?

あ、それは喜んでました(笑)。 (※1)

モリオカ:ちょっと話を戻しますね。高校3年生になるまでは、入江さんの中で「漫画」「漫画家」ってどういう存在だったんでしょうか。

身近に漫画家がいたわけでもなく、漫画も、高校に入って同人誌ってものを知るまで描いたことはなかったです。描いてもせいぜい1〜2ページくらいの短いギャグ漫画とかで。
ゲームのパロディ物も描いたりしました。それは10ページくらい。“ゲームの展開が、これこれなら、このキャラクターのその時の心情はこうだ”…みたいな漫画でした。
そういうのを描いていく中で、「あ、漫画って面白いかも」と思ったんですよね。で、高校3年生になった時に漠然と「漫画家」になろうと。
でもその後、大学に受かって上京してから、4〜5年は同人誌を描いてました。漫画家になることと、同人で描いてることがすごく近かったんです。……たとえば、インターネットって、始めた最初の頃って楽しいじゃないですか。そんな感じで、「漫画家になるぞ」って描き始めて、一番楽しかった時期はずっと同人をやってましたね。





▲『コダマの谷』より。
2002年2月〜2003年11月にかけて個人出版物として発表された作品。緑深きコダマの谷にある王立大学を舞台にした群像劇。
多くの魅力溢れる登場人物たちの“その後”を描いた『After the Echo Valley』というオマケ漫画が、単行本に収録されてます。


それから少しずつ雑誌でイラストや漫画の仕事をするようになって、今に至ります。

モリオカ:「漫画家」を意識する前は、何かなりたいものはありました?

スナフキンになりたいと思ってた! あと、『風の谷のナウシカ』を見た12歳くらいの時に、ナウシカが16歳って聞いて「まだ大丈夫」って思ったのを覚えてます。

モリオカ:わはははは! なにが大丈夫だったんでしょう(笑)!

おかしいですよね。多分、動物を慣らしたりとか、風で飛んだりとかを16歳までにできるようになれば「大丈夫」だと。無理に決まってるんだけど(笑)。

       

【漫画を描く中で好きな工程を教えてください。
 また好きな工程は、漫画を描いている中で変化していますか】(D地さんより)

楽しいのは、やっぱりネームかな。コマを割ったり、どういうシーンを描こうか練ってる時。

モリオカ:絵を描いてる時(下描きやペン入れ)が好きなのでは、と勝手に予想してたんですが…。

絵を描くのは辛いです。絵が好きで描いてるんじゃなくて、漫画が好きなんです。漫画があって、そこにコマ割りがあって、シーンがあって、そこにそういう絵が要るから描いてるので、特に好きだと思いながら描いてはいないです。
落書きも全然しないですね。昔はしましたけど、今は、漫画のために必要だから、そのために技術を磨こうと思うようになりました。だからイラストより漫画のほうが全然好きです。

好きな工程が変化してるかと言われれば、ネームは以前から辛くも楽しくもありっていう作業でしたけど、それがさらに深度を増したという感じです。確かに一番辛いんですけど、でもやっぱり楽しいし、充実感がありますね。


       


【好きな漫画家・漫画作品を教えてください。いくつでも!】 (D地さんより)

自分の家の本棚を思い返しちゃいますね。そうだなあ…本棚には少女漫画がすごくたくさんあるんですけど、「こんな漫画が描けたら!」と一番思ったのは坂口尚さんの『万年筆』です。『12色物語』という短編集に入ってます。

くらもちふさこさんの『天然コケッコー』、萩尾望都 さんの『11人いる!』は大好きです。傑作だと思います。
あと杉浦日向子さん、雁須磨子さん。雁さんは高校生の時に『いちごが好きでもあかならとまれ。』を読んで、「なんだこれは!」と衝撃を受けました。
そうだ、樹なつみさんの『花咲ける青少年』も入れておいてください!

今挙げたのはどれも、大学生以降に読んだものなんですが、それ以前だと『風の谷のナウシカ』。さっきも言いましたけど、小学生の頃に死ぬほどハマったんですよ。映画で最初にショックを受けて、自分の部屋はもう、ナウシカまみれでした。田舎
(※出身地のお話はpart.3にて!)だから、ポスターとか文房具とかのグッズがなくて一所懸命探しました。自分でもいっぱい描いたりして。
ナウシカの影響は、ずっと引きずってるかもしれないですね。
同じ頃、『ヘッドロココ』
( 正式タイトルは『ビックリマン 愛の戦士ヘッドロココ』 )も読んでました。ちょっとHなんですけど、知ってます? 当時、「これは子どもは読んではいけない本だ!」と思って、本棚の裏に隠してました。
……恥ずかしいですね、こういう、自分のルーツを明らかにするのって(笑)。

ちなみに今一番、読んでいるのは、村上もとか『メロドラマ』。2巻で終わってるんですけど大好きですね。
他にはTONOさんの『カルバニア物語』が大好きで、何度も読み返していますし、諸星大二郎さんも読みます。
それから最近読んでショックだった漫画は湯浅ヒトシさんの『耳かきお蝶』ですね
(※2)


       


【漫画家になってから意識するようになったこと(職業病だなあと思うこと)はなんですか?】 (セロンさんより)

うーん……変えよう変えようと思ってて変わってないことも多いんですけど、すべてが漫画のため、という生活になりました。本を買うにも何を買うにも、漫画のためになるかなって考えるようになった。
漫画描いてるから私って外に出るんだなあ、漫画描くためにゴハン食べるんだなあって。食べないと描けないですもんね。


モリオカ:なんというか…それは…漫画サイボーグですねえ!

ふふふ。そうですね。でも、それでもまだ全然、漫画を描くのって難しいと思います。


      


【影響を受けている物・事・人があれば、お聞きしたいです!】(芳子さんより)

やっぱり根っこは少女漫画だと思うんですけど、他にも色々あるなあ……。

モリオカ:歌舞伎を、よく観に行かれてるそうですが。

そうですね、最初は趣味から入ったんですけど、ものづくりっていう点でもショックを受けてますね。でも、見せ方に影響を受けたいと思ってるけど、まだ受けられてないというのが現実です。
大衆の娯楽として、見せるべきものをすごくわかりやすくガーンと持ってきたりとか、そのために辻褄はどうでもよかったりとか、感心することが多いですね。


モリオカ:黒子とか普通に見えてますもんね。

そうそう。黒子が鳥を持って飛んでるように見せたりして(笑)。歌舞伎のお約束では、黒は見えない色っていうことになってて、そういうのも面白いですね。
人をあの手この手で楽しませようという、そこにはとにかく感動します。



       


【煮詰まった時の気分転換には何をしていますか】(マッスィ〜さんより)

そういうときはアイロンをかけます!
手洗いしたハンカチとかを、ちょっと乾いた状態でアイロンがけするんです。心の中がほぐれて落ち着きます。最高ですね。
場所を変えるとか、そういうこともよくやりますけど、気持ちを落ち着ける時や焦った時に、アイロンがけはとっても良いと思います。すごくオススメ。


モリオカ:へええ…私もやってみようかな…。あんまりアイロンが要るような恰好してないですけど……。

私も、必要ないのに無理にかけたりすることありますよ(笑)。シーツとか布団カバーとか、普段なら洗濯した後、そのまま使っちゃうんですけど、洗ったばかりのシーツがあって、気持ちがソワソワするっていうような時は積極的にやります! ……大きいから時間かかるんですけどね。いつまでやるんだろうって自分で思いながら、表も裏もやったりする(笑)。いい匂いのリネンスプレーをかけたりもします。

まあでも結局、出来ないときは煮詰まったままなんですけど(笑)。
あとはやっぱり、漫画を読みます!


モリオカ:おお! 正攻法というか、敢えて漫画を。

外に行って、いま出てる雑誌を読むんです。面白かったら「ああこのくらい描かなくちゃダメだ」って思いますし、つまらなかったら「これより面白く描かなきゃダメだ」って思うから、テンションが上がってくるんです。
で、頭のネジみたいなものが外れて、「こういうもこともアリなのか」「じゃあアレもやってみよう」とか、大体、そういう時にパッと閃きますね。


    

(……モリオカはまず、アイロンを探すことから始めてみます。ていうか最後に使ったのいつだっけ! 皆様もアイロンがけの効用、ぜひお試しください。さあ、入江さんのルーツなどがボンヤリ見えてきたあたりで、インタビューはpart.2へ続きます。9月19日公開予定です!)


※1 喜ぶご両親
このインタビューが終わった直後のこと、入江さんの携帯にご両親からメールが!
曰く「漫画の感想を10枚FAXするけど、紙の補充は大丈夫か」。
10枚! すごい! ……と目頭が熱くなったのですが、さらに後日談があるんです。
実は、送られてきたものは、「入江さんのご両親の感想」ではなく、ネットで娘の名前を検索にかけて引っかかった感想・批評、だったのです。つまり入江さんもネットで見ることができるもの……なんですが、いやいや、気持ちが嬉しいんですよね。
入江さんのご両親は「楽天だと(『群青学舎』の)画像が出ないんだけど、どうしてなの?!」と連絡してきたりもするそうです。ちょっとかわいい話。

※2 湯浅ヒトシさんの『耳かきお蝶』
2006年4月号のビームに読切『剣姫』で初登場した湯浅ヒトシさんの作品。単行本1・2巻が双葉社から発売中です。
とらのあなが無料配布している小冊子『とらだよ。』の第58号でオススメの漫画を紹介するコーナーに登場した入江さんは、この『耳かきお蝶』をプッシュしていたりします。



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