【リベレツ(チェコ)立松敏幸】ノルディックスキーの世界選手権は第9日の26日、複合団体で、前半飛躍5位の日本が後半距離で逆転し、14年ぶりの頂点に立った。日本のメダルは今大会初めて。
日本は距離が不調なエース高橋大斗(土屋ホーム)をあえて外し、後半勝負の布陣。前半飛躍(HS134メートル、K点120メートル)で5位と粘り、後半距離(5キロ×4)のスタートから終始、首位争いに加わって逆転優勝した。日本複合団体は、92年から95年に五輪と世界選手権を4連覇して以降、低迷が続いていた。
距離女子20キロリレーは、日本が7位に入り、前回札幌大会の8位を上回って、この種目で五輪も含め最高位を記録した。日本は8位で滑り出した第2走者の石田正子(JR北海道)が3位まで順位を上げる好走。第3走者の柏原理子(長野・飯山南高)も粘りを見せた。優勝はフィンランド。
◇辛抱して強化 「お家芸」復活
久しく忘れていた歓喜の瞬間だった。
日本の第4走者、小林はドイツ、ノルウェーと先頭集団でスタート。4位以下が大きく離れ、メダルは確実な状況で、あとはそのメダルが何色になるかだった。お互いけん制し合って迎えた残り700メートル。上りから下りにかけて小林がスパート。競技場内でドイツの追い上げられたがかわし、右腕を突き上げてゴールした。
距離の得意な小林や湊が好調なことから、日本は後半勝負にかけて、エースの高橋大斗(土屋ホーム)を外した布陣で臨んだ。前半の飛躍を4人ともまずまずで乗り切って5位。後半はトップと24秒差につけ、メダルは十分射程圏内だった。
「スキーがすごく滑った」と河野ヘッドコーチが振り返ったように、ワックスの選択が的中。期待の湊がトップで加藤につないだ。「ぼくはつなぐのが役目」という加藤も4位と集団の中に残った。そして、渡部が終盤に集団から抜け出し、2位で最終の小林へ。「みんながしっかり役目を果たしてくれた」と河野コーチは言葉を詰まらせた。
その河野コーチがメンバーだった95年以来の団体戦の世界選手権制覇。最強からどん底を経験した日本複合陣が、何年もかけて辛抱強く取り組んできた強化がようやく開花した。「お家芸」を復活させ、来年のバンクーバー五輪ではさらに大きな実を結ばせたい。【立松敏幸】
2009年2月27日