県立中央病院で明らかになった受精卵取り違え疑惑。不妊治療中に授かった新しい命が実は別人夫婦の子どもかもしれないという衝撃の事態を前に、女性は「100%自分の子供なら産みたい」と涙を見せたという▼超音波で待望の妊娠を確認してから約1カ月。絶頂の喜びが音を立てて崩れ去った。中絶の意思を伝えたのは告知から3日後。夫婦は何を思ったのだろう▼発覚の翌日、代理人は「こちらには過失割合のゼロも0.1%もないはず。進んで話したがらないことはご理解いただきたい」と話した▼いつか夫婦が取材に応じる日は来るのだろうか。そしてその時、想像を絶する2人の気持ちを、私は十分な言葉にできるのだろうか。【三上健太郎】
毎日新聞 2009年2月26日 地方版