早期移設を／「地元配慮」どこまで

　日米政府が十七日、米軍再編のロードマップ（行程表）推進を明記した「在沖米海兵隊のグアム移転に関する協定」に署名したことに、米軍普天間飛行場の移設問題に関連する地域の反応は割れた。条件付きで移設を容認する名護市の関係者は冷静な見方を示す一方、反対派は強く反発。現時点では評価に慎重な声もあった。日米政府による頭越しの新たな「縛り」が、県内の基地問題の複雑さに拍車を掛けている。

　名護市は同日午前、基地対策室の担当者らが協定内容を確認し、対応を協議した。普天間飛行場代替施設の建設場所を沖合に変更するよう求めている島袋吉和名護市長は「（日本政府との）基本合意に基づいて、協議会の場で沖合を主張していく」と従来の立場に変わりがないことを強調。協定については「正式調印が終わってから正式にコメントしたい」と淡々とした表情で話した。

　「普天間」がある宜野湾市の伊波洋一市長は、県内移設のパッケージ合意に反対し、ヘリコプター部隊のグアム移転の早期実現を要望。協定をめぐる米側の思惑について、「グアムの米軍基地建設で日本の財政支出を担保することが重要なのだろう」と推測した。

　海兵隊のキャンプ・ハンセン演習場がある金武町の儀武剛町長は「地元にどの程度配慮したものなのか、協定の中身がよく分からないままに、調印されることは残念だ。協定の中身を早く開示してほしい」と求めた。協定の中身を確認した上で、あらためてコメントするとした。

　「普天間」の名護市辺野古移設を容認する同市商工会の荻堂盛秀会長は「どうせやるなら、早期の移設を求めたい」と協定を冷静に受け止めた。「基地負担が北部に集約されることに『なぜ』という怒りはある」とする一方、「（反対派が）長年、基地反対を訴えてもそうはならなかった。住宅地よりは安全な名護の沖合にというのがわれわれの考えだ」と話した。