老朽化で来月撤去　会員、思い出語る

　【名護】１９８０年に建設された名護大通り会商店街のアーケードが老朽化のため、３月にも撤去されることになり２１日、会員らが当時を懐かしみ、別れを惜しんだ。名物の「ひんぷんガジュマル」から、名護十字路まで約２５０メートルの通り沿いに続くアーケードは、かつて北部一の買い物客でにぎわった。

　同アーケード委員会の神山康喜副委員長が「誰しも撤去を望んでいないが、台風時の補修費など維持費を考えるとやむをえない。北部初の近代的な商店街として、私たちに大変な恩恵をもたらしてくれた」とあいさつ。

　五八年から半世紀にわたり商店を経営し、昨年十一月に店を閉めた永野吉信さん（７９）は「景気がいいころは、直接、那覇市の業者にビールや酒を数百ケース仕入れたこともある。毎日、休みなく働いた」と振り返った。

　アーケード建設に尽力した照屋哲郎さん（８２）は「観光バスが何台も商店街に立ち寄った。雨の日も日が強い日もお客さんに迷惑をかけないよう、死にもの狂いで造った」と当時を振り返った。　　一番景気が良かった沖縄海洋博（七五年）直前は、商店街全体が活気に満ち、お土産品などが飛ぶように売れたという。

　建設費は一億二千万円余りで、名護大通り会の当時の五十四人の会員が負担金を出し合い建設。郊外への大型店舗の進出や高齢化で、会員は現在約三十人に減少した。他の場所に移った元会員らも久々に集い、思い出話に花を咲かせた。

　浦崎均会長は「アーケードはなくなるが、植樹や防犯灯などで、新しい明るいイメージの商店街にしたい」と話した。

　仲宗根徹アーケード委員長や、建築士としてアーケードを設計した末松文信副市長らが撤去のセレモニーを行った。