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トヨタ式鬼十訓 私が大野耐一に学んだこと
著者:若松義人 1,470円
四六判 ISBN 978-4-86063-220-5
【担当編集者のコメント】
今や世界中にその名を広めた「トヨタ生産方式」。この生産システムを体系化したのが、トヨタ自動車の元副社長である、大野耐一氏です。「カイゼンの鬼」とも言われた大野氏のもとで学んだ著者が、トヨタの仕事術の真髄を明らかにします。
【著者のコメント】
難問に直面し、判断に迷うとき、大野さんの著書を読み返しながら「大野さんならこんなときどうされたかなあ」と自問自答する人間がたくさんいる。それほどに大野さんはトヨタ式に巨大な影響を与えている。大野さんの人物、考え方、仕事のやり方をもっと知りたいと言う人が出てくるのは当然のことと言える。私が今回、大野さんの言葉を中心に「鬼十訓」をまとめた動機もそこにある。
大野さんが「十訓」を口にしていたわけではもちろんない。本書の「十訓」は、あくまでも私が、トヨタ時代から今に至るトヨタ式普及のお手伝いの過程で体得したものの見方や考え方、行動の仕方を10のポイントに要約したものである。単なるスパルタではないことをしっかりと銘じたうえで、本書の「十訓」を、いくつかでもいいから実践していただきたい。この本が強い企業、強い自分をつくるうえで少しでもお役に立つことができれば、これにまさる幸せはない。
【著者はこんな人】

若松 義人(わかまつ・よしひと)

1937年生まれ。宮城県出身。トヨタ自動車工業に入社後、大野耐一氏のもとで「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。84年以降は、農業機械メーカー、住宅メーカーなどでも同方式の導入、指導にあたった。91年韓国大宇自動車顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社代表取締役社長。西安交通大学客員教授。著書に『トヨタ流 自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「最強の社員」はこう育つ』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『トヨタ式人づくりモノづくり』(ダイヤモンド社)、『図解 トヨタ流 仕事力がたちまち身につく本』(大和書房)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』(PHP新書)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『「1行」でわかるトヨタ流』(あさ出版)など。

■■本書の目次■■

 

トヨタをつくった「大野耐一の鬼十訓」
まえがき

第1訓
君はコストだ。まずムダを削れ。それなくして能力は展開できない。

ムダは隠れる。仕事の隠しごとをまずやめよ。
小さな数字を集めろ。大きなムダが見えてくる。
過去の数字で計画を立てるな。過去のムダを引き継ぐことになる。
生産性で自分をはかれ。忙しさは生産性ではない。
モノをつくるのではなく、「必要なモノをつくる」。

第2訓
始めたらねばれ。できるまでやめるな。中途半端はクセになる。

わかったつもりになるな。「まだ」に発見がある。
応急処置を避けよ。「その場でとことん」をクセにしろ。
「できるかぎりやる」でなく、「できるまでやる」んだ。
満足しても慢心するな。自信があっても過信をするな。

第3訓
困れ。困らせろ。安易を好む人と決定的な能力格差がつく。

大増産を小増員でやれ。成長の秘密はそこにしかない。
仕事は「可能か」で決めるな。つねに「必要か」で決めよ。
答えを教えるな。考えさせる工夫をしろ。
ほしいときは「なくても」で、上げたければ「下げたら」で発想せよ。
人を動かすには気持ちを揺さぶる。揺さぶるには困難を持ち込む。

第4訓
ライバルは君より優秀だ。すなわち君は「今」始めることでのみ勝てる。

様子を見すぎるな。タイミングに見放される。
なんでもその場でやれ。なんでもすぐ片づく。
明日でも対策は見込めるが、今日なら良策が仕込める。
積み上げが、仕事を鍛え上げる。

第5訓
仕事に痕跡を刻め。十割を命じられても十一割めを自前の知恵でやれ。

「できた」で止まるな。「もっとできる」に進め。
言葉通りにやらず、言葉に知恵を足せ。
一律を避けよ。労働強化のもとになる。
教えるな。気づかせろ。

第6訓
平伏させず心服させろ。そのためにはだれより長い目で人を見ることだ。

適材適所に「適時」を加えよ。
手をかけ時間をかける。そうしてこそ人から声がかかり始める。
まずやらせるな。まずやってみせろ。
汗をかかせるな。知恵に欠けてくる。

第7訓
「できる」とまず言え。そこに方法が見つかる。

「できる」を信じる。「できない」は疑う。
知恵は平等だ。知恵の引き出し方で差がつく。
評論家を評価するな。批判で判断を終えるな。
多忙を改めたいなら、仕組みを改めることだ。

第8訓
失敗を力にしろ。真の自信も運もリカバリーから生まれる。

成果を上げるには、ネを上げないことだ。
「失敗だ」とあきらめるな。「失敗にしたくない」と発想せよ。
支持されたいなら、指示を減らすんだ。
数字の嘘を見抜け。教師は現場である。

第9訓
労働強化を避けよ。人間「ラクになるには」に一番頭が働く。

「平均的に」はラクではない。「最速で」がラクである。
失敗パターンを改善せよ。成功パターンも改善せよ。
目標値が高ければ、出発点は低くていい。
利潤で決めていいが、利潤だけで決めてはならない。

第10訓
お客の叱声は成功の呼び声だ。逃すな。いじけるな。考え抜け。

相手を変えたいなら、自分が変わるんだ。
むずかしいことはやさしく言え。やさしいことはくり返し言え。
「できる」信念も、「できない」信念も強さは同じだ。
いいチームにせよ。いいチームができたら改善せよ。

あとがき

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