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靖国神社の合祀者氏名削除認められず 大阪地裁判決

2009年2月26日

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 太平洋戦争の戦没者らの遺族9人が、意思に反して靖国神社に親族を祭られ続け、故人をしのぶ権利を侵害されているとして、神社が管理する「祭神簿(さいじんぼ)」などから氏名を消すよう求めた訴訟で、大阪地裁は26日、遺族の請求をすべて棄却する判決を言い渡した。村岡寛裁判長は「遺族が主張する感情は不快や嫌悪の感情としかいえず、法的に保護するべき利益とは言えない」と述べた。

 原告は近畿、中四国、北陸に住む64〜82歳の男女。父親や兄ら親族11人が40〜45年、ビルマ(ミャンマー)やフィリピンなどで戦死・病死して合祀(ごうし)された。「親族の死を殉国精神の高揚に利用されるのは嫌だ」として、国が持つ氏名や死亡年月日などの情報に基づく祭神名票(さいじんめいひょう)、それをもとにした祭神簿、儀式用の霊璽簿(れいじぼ)からの氏名抹消と遺族1人につき慰謝料100万円の支払いを求めていた。

 判決はまず、自衛官合祀拒否訴訟の最高裁判決(88年)が「強制や不利益の付与を伴わない限り、他者の宗教的行為で自己の精神生活の静謐(せいひつ)を害されたとする感情には、損害賠償や差し止めの請求を導く法的な利益が認められない」と述べた部分を引用した。そのうえで、遺族側の「靖国神社が戦没した家族のイメージを勝手に作り上げたことで敬愛追慕の情に基づく遺族の人格権が侵害された」とする主張を検討。「故人に対して縁のある他者が抱くイメージも多々存在し、故人に対する遺族のイメージのみを法的に保護すべきだとは言えない」と指摘した。さらに「合祀に強制や不利益の付与はなく、遺族以外の第三者は合祀の事実を知り得ないのだから名誉やプライバシーの侵害も認められない」と判断した。

 靖国神社と国の一体性については「合祀は靖国神社が最終的に決定しており、国の行為に事実上の強制とみられる何らかの影響力があったとは言えない」と判断した。

 今回の裁判は合祀の拒否をめぐる訴訟で初めて国だけでなく神社を被告とし、遺族が反対している場合も「英霊」として祭り続けることをめぐる初の司法判断となった。遺族らは、過去の判例を踏まえて、裁判所に合祀という宗教行為そのものの是非を問うのは難しいと考え、合祀取り消しでなく、合祀資料からの氏名抹消を求めていた。同様の訴訟は東京、那覇両地裁でも起こされている。

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