麻生首相は23日夜、青森市内での22日の講演で「我々はいい加減な教科書を変えた」と発言したことについて、「検定委員会(教科用図書検定調査審議会)が変える。検定で表現が変わった」と釈明した。政治の圧力で教科書が書き換えられたと受け止められかねないことから、事実上発言を修正したとみられる。首相官邸で記者団の質問に答えた。
首相発言をめぐっては、文部科学省の銭谷真美事務次官も23日の記者会見で、「政治家の圧力で書き換えたのか」との質問に、「教科書検定は審議会の審議を経て厳格かつ適切な実施をしている」と答え、政治圧力を否定した。
首相は22日の講演で「我々は教育基本法を変えて、あのいい加減な教科書を変えた」「おじいちゃん、おばあちゃんと一緒の写真。こっちは犬と子どもと一緒の写真。両方家族ですって。おばあちゃんは犬と同じか。こんなふざけた話がどこにあるんだとやりあった」と述べた。
首相は23日、「検定制度の趣旨からして政治的介入はあってはならない」との記者の質問に、「それは当然です。教科書検定という制度がある」と強調した。
首相が指摘した教科書の記述変更について銭谷氏は、中学校の技術・家庭の教科書から「Aさんの家族(母、父、弟、犬)」との記述が削除された04年度の検定などと思われると指摘。「審議会が検定意見書を付け、(教科書会社が)書き換えた記述について検定決定をしたと記憶している」と説明した。