インタビュー: 無駄排除できなければ政権交代の意味ない、国会議員削減を政権公約に明記=民主・藤井氏

2009年 02月 23日 20:27 JST
 
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 [東京 23日 ロイター] 民主党の藤井裕久最高顧問は23日、ロイターとのインタビューに応じ、次期衆院選で民主党が政権を握った場合には、天下りや特別会計、国と地方の二重行政などを徹底的に見直すことで、農家の個別所得補償や高速道路の無料化、子ども手当てなどの政策を実現するとし、「これができるかが最初の勝負。できないなら政権交代する必要はない」と言い切った。国会議員定数の1割削減を次期衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込むことも明言。消費税率引き上げは、こうした無駄の削減が大前提とし、当面は現行税率を据え置くべきとの考えを示した。

 世界・日本の実体経済が急速に悪化する中で、政府・与党は累次の経済対策を打ち出しているが、政権交代をにらむ民主党も4年間で真水57兆円という政府の同12兆円を大きく上回る規模の対策をとりまとめている。

 こうした民主党の対策について、政府・与党内から財源が不明確との指摘が多いが、藤井氏は「とんでもない批判だ。財政の節約や公の無駄遣いが相当あるとの確信を持っている」と強調し、官僚の公益法人などへの天下りや特別会計、国と地方の二重行政などの見直しで十分に財源は確保できると語った。

 特に特別会計については「不適正な支出に回されており、これが看過されてきた」と批判し、重複計上分を除いた200兆円程度の特会歳出を「民間企業が経費削減に努力しているように1割削れば、20兆円ができる。これは消費税率で8%に相当する」と指摘。「こうした無駄の削減ができるかが最初の勝負。できないなら政権交代する必要はない」と力を込めた。

 さらに、無駄の削減に関連して「国会議員は多過ぎる」とし、次期衆院選のマニフェストには国会議員定数の1割削減を明記する考えを明らかにした。

 

 <消費税、次期衆院選で「上げると言うことはない」>

 

 麻生政権は経済状況の好転を前提に、2011年度から消費税を含む税制抜本改革を行う方針を示しているが、藤井氏は民主党の消費税への対応について「次の選挙で上げると言うことはない。役人の無駄遣いをあらためないで消費税(引き上げ)を口にする人は政治家の資格がない」とあらためて無駄の削減が大前提と強調。

 一方、景気対策として一部で指摘されている消費税率を引き下げる案については「間違った考え」と一蹴し、消費税を基幹税と位置づけ、所得比例年金部分の低所得者への補償や高齢者医療などに充当する完全目的税にすべきと語った。

 

 <小沢首相なら外国と対等に発言、新通貨制度の勉強も始めるべき>

 

 さらに、藤井氏は、民主党が政権をとった場合、小沢一郎代表が間違いなく首相になるとし、自民党の首相との違いとして「絶対に外国に対して対等に物を言う」ことを第一にあげた。この点に関連し、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題に端を発した世界的な金融危機は「ドル最優先主義が一つの限界にきていることを示した」とし、「新しい通貨制度についても勉強を始めるべき」との考えを示した。

 具体的には、過去に浮上したアジア通貨基金構想について「アジアに依然として期待がある」とし、「アジアの中でそうした意見があることは小沢さんも知っている」と指摘。「簡単なことではない」としながらも、小沢代表が首相になれば「(新たな通貨制度の勉強が)話としては出てくると思う」と語った。

 

 (インタビュアー:伊藤 純夫記者、梶本 哲史記者)

(sumio.ito@thomsonreuters.com; 03‐6441‐1832; ロイターメッセージング:sumio.ito.reuters.com@reuters.net)

 
 

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