地域に住む人たちが重大な選択をする場合、民意が示され、尊重される。その方策として住民投票がある。在沖米海兵隊のグアム移転をめぐり、移転の賛否などを問う住民投票法案がグアム議会に提出された。移転に対する意向について、投票を通してグアム住民の直接の意思を問う初めての動きだ。
2006年の在日米軍再編日米合意で在沖米海兵隊員約8千人のグアム移転が明記された。沖縄の米軍基地機能の縮減につながる削減策として県民の期待は大きい。住民投票法案をめぐる審議の行方は、グアムへの移転計画にも影響を与えそうだ。今後の審議を注目したい。
グアムへの在沖米海兵隊員の移転について、住民の7―8割が賛成している。賛成の理由として、雇用創出や景気浮揚への期待感がある。一方で、隊員と家族の受け入れについて、病院などの施設が不足するという懸念もある。
民意を問う狙いは、移転の賛否とともに公共用地を米軍に貸すことへの認否もある。
米軍がまとめたグアムの基地拡張計画で、射撃訓練場としてグアム政府所管の土地利用が検討されている。昨年7月段階の計画案は、グアムの知事、副知事だけに知らされ、議会や地元首長には昨年暮れまで説明がなかったようだ。
この説明不足に対し、一部議員が不信感を強めている。批判の声として「軍用地以外の土地利用は地域への影響が大きい」「移転の過程に地元住民も関与する必要がある」などが挙がっている。移転による雇用や景気へのメリットを理解している住民にとっても、詳細な計画が不透明なままでは不安であり、当然の主張だといえよう。
日米両政府は、海兵隊のグアム移転費用を日本側に負担させ、米軍再編計画を確実に実行するための「在沖米海兵隊のグアム移転に係る協定」に署名した。
グアム移転だけでなく、普天間移設、嘉手納基地より南の米軍基地返還の3つを「パッケージ(一括実施)」として促す協定に多くの県民は納得していない。が、日米政府は、協定という形で県民に押し付けている。一方で、米軍はグアム住民に正確な計画を示さず、基地移転を進めようとしている。
米軍は基地拡張計画をグアム住民に対し、十分に情報開示してもらいたい。住民不在のまま、計画を進めてはいけない。
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