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【埼玉】

医師不足対策 NICU増床に補助 後期研修で資金貸与

2009年2月22日

 産科、小児科を中心に医師不足が深刻化している。ここ数年問題になっている救急搬送された妊婦の受け入れ拒否問題も医師不足や新生児集中治療室(NICU)不足が一因とされる。こうした問題を少しでも減らそうと、県も新年度に対応する事業を予算化した。

 医師不足対策として小児科・産科医を確保するため、県内の周産期医療センターで後期研修を受ける医師に研修資金を貸与。後期研修後、貸与期間の一・五倍の期間、県内の小児科・産科病院に勤務すれば貸付金の返還を免除することで医師の県内定着を目指す。また分娩(ぶんべん)手当を支給する産科医療機関に一件あたりの手当一万円につき三分の一を助成し、産科医の処遇改善と医師確保を図る。

 このほか、出産や育児などを迎える女性医師の継続的な就業とスムーズな復職に向けた支援体制も整える。

 NICUは県内に少なくとも百二十床は必要といわれるが、現状は八十四床。新年度、県の総合周産期母子医療センターである川越市の埼玉医大総合医療センターで六床増やすために経費を補助するほか、県の要請で三床増やす国立病院機構西埼玉中央病院に、運営費を支援する。県は「厳しい財政だが、少しでも医師不足解消、産科・小児科充実を進めていきたい」とする。

 人工呼吸器を使用するなど超重症心身障害児などを一時的に預かる短期入所事業や日中一時支援事業があるが、診療報酬や医師・看護師の人材不足などから実施する医療機関などが少ないのが現状。二十四時間つきっきりで介助する家族にとって精神的、身体的負担も非常に重い。県は短期入所や日中一時支援機関を拡大するため、報酬の上乗せなどをする市町村に対する補助制度を創設、県は「施設の増加と家族負担の軽減を目指したい」とする。 

  (萩原誠)

 

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