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〈インタビュー〉 デヴィ・スカルノ夫人 活気に満ちた4月の平壌を訪問

歴史から目を背ける日本

 【平壌発=李相英記者】金日成花・金正日花普及後援会の名誉会長であるデヴィ・スカルノ夫人が、11日から14日まで朝鮮を訪問した。夫人の訪朝は2004年2月以降、今回で4度目。金日成主席生誕95周年を迎えた平壌の印象や朝・日関係の現状などについて聞いた。

−4回目の訪朝だが、平壌の印象は。

インタビューに答えるデヴィ・スカルノ夫人(撮影=文光善記者)

 滞在期間中、 金日成主席の生誕日を記念する親善芸術祭典が開催されていた。スカルノ大統領の2番目の息子グル・スカルノ氏が率いる舞踊団をはじめ、各国芸術団の公演を鑑賞した。万景台や平壌産院も見学させていただいた。また、12日に行われた第9回金日成花祝典の開幕式、13日の普及後援会年次総会にも出席した。

 金日成主席生誕95周年を迎える平壌は活気に満ちていた。日本のメディアでは現在、朝鮮に関するいろいろなことが取りざたされている。経済的に破綻しているとか、人々は苦しんでいるとか、飢餓の状態で暗い顔をしているなど、散々たる朝鮮の姿が伝えられている。

 しかし来てみると、街の中は人々であふれているし、夜遅くまで全てのビルは明かりがついていた。人々がとても明るく上気した顔をしていたのが印象的だった。「アリラン」公演もぜひ見たかったが、所用で帰らなければならないのが残念だ。

−拉致問題や歴史問題などで朝・日関係は好転の兆しがない。両国関係の現状についてどう思うか。

平壌で盛大に行われている第9回金日成花祝典。国内はもちろん各国から送られてきた数々の花が展示されている [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 小泉首相が2度訪朝して日朝国交正常化を約束したにも関わらず、その後一方的に拉致事件をもって国交正常化を実行していないということに対して腹立たしく思う。日本の政治家は選挙のため、票集めのための人気取り合戦のようなことをしている。

 拉致問題で自分の人気を高め、「正義は自分にある」ようにふるまっているが、私にしてみれば非常に偽善的なことだ。確かに拉致事件はあってはならないことだが、国と国との問題で、「それが済まなければ何も進まない」ということはよくない。

 一国の最高指導者が事実を認め、お詫びの言葉を述べているわけだから、拉致問題をこれ以上日朝国交正常化の障害物にするべきではないと思う。

 拉致を言い立てる日本政府だって「従軍慰安婦」について言われるのをあれほど嫌がっているではないか。政治家は事実をごまかして、「それはなかった」とまで言っている。

 過ちは認め正さなければならない。しかし国家の成長の過程には犠牲や歴史の暗部があるということも、また事実だ。日本にもインドネシアにも、米国、フランス、どの国にもあった。

 日本がそこまで拉致問題について言うのであれば、日本が前の世紀に100万人近い人々を朝鮮半島から強制的に日本へ連れて行って炭鉱などで働かせ、迫害し、殺害したことも強調し、朝鮮の人々に謝るべきだ。

 誰がどこでどんな死に方をしたのか、遺骨がどこにあるのか、はっきり記録に残っているのはわずかな数にすぎない。

−日本国内では、在日朝鮮人に対する弾圧が激しさを増している。

 日本政府は新たに法を整備し、両国間の人の往来を厳しく制限している。「万景峰92」号にいたっては、日本への入港を全面禁止している。非人道的、非外交的な措置であり、憤りを感じる。

 機会あるごとに話しているが、日本の政治家はなぜもっと徳のある政治をできないのか。弱いものいじめをしているようにしか映らない。なぜそこまで米国に追従しなければならないのか。今後、日本は世界の流れに取り残されるかもしれない。

 在日朝鮮人の方々への弾圧に対しては、怒りを覚える。常軌を逸しているとしか思えない。北海道の飲食店や、滋賀の学校に対する強制捜索など、戦後日本の赤狩りを彷彿とさせる。

 警察が学校にまで押しかけるというのは野蛮で、本当におかしい。朝鮮に対する恐怖なのか、それとも復讐のためなのか。安倍首相をはじめ、そうすることが自分たちの立場を強め、日本人に受けると勘違いしている。偏見と既成観念に支配された浅はかな考えだ。それをマスコミが助長している。

 朝鮮のことだけでなく何か事件が起きると、リンチのように一方的に書きたてる。正しいことを報道する姿勢ではなく、ただおもしろおかしく書くというものだ。

 在日の人たちはもっと機会を見つけて主張してもいい。滋賀の学校に対する強制捜索の時は、私もデモに一緒に参加しようと思ったくらいだ。これからも何かあれば出席してもいいと思っている。

 残念ながら、日本の一般の人々は何も知らない。在日の方々がデモ行進や各種メディアを通じた意見表明など、さまざまな方法で行動を起こしていくことを願っている。

[朝鮮新報 2007.4.20]