麻生太郎首相は18日、ロシア極東のサハリン(樺太)で行ったメドベージェフ大統領との会談で、懸案の北方領土問題について「今の世代で解決」することで一致した。首相は「戦略的な関係をロシアと構築する上で重要な一歩」と述べ、会談の成果を自画自賛。中川昭一前財務・金融相の辞任で自民党内に動揺が広がる中、一層の苦境に追い込まれた首相からは、外交をてこに失地回復を図ろうとする焦りものぞいた。
「役人に任せていては駄目だ。政治家が解決する以外方法がない」。首脳会談を終えた首相は記者団にこう語り、大統領との間に個人的信頼関係を構築し、政治主導で領土問題解決を目指す決意を表明した。
その上で、大統領が会談で提案した平和条約締結交渉加速のための「独創的で型にはまらないアプローチ」の内容に関し、「向こうが2島(返還)、こっちが4島では全く進展しない」と踏み込んだ。
首相発言は、ロシアが1956年の日ソ共同宣言を根拠に「歯舞、色丹2島返還」以上の歩み寄りを拒んでいることを念頭に、こう着状態打開のため柔軟対応も辞さない考えを示したものだ。
しかし、これは、4島とも日本固有の領土としてきた政府の立場を変えたと受け取られかねないのも事実。日本側は「これまでも4島の帰属の問題が解決されれば、(実際の返還時期などには)柔軟に対応する考えを示している。基本方針に全く変更はない」(政府筋)と早速、火消しに追われた。
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