「男は虐げられている」(郁朋社)の著者で、男女関係について長年研究している竹中英人さん(36)は、男性の生きづらさについて、フェミニズム思想の伝わり方を原因として挙げる。
「元々、『男らしさ』『女らしさ』といった、期待される性役割があり、それぞれメリットとデメリットがありました。男性は権利がある分、責任もあり、女性は抑圧される分、保護されていた。ところが、フェミニズム思想が広まる際に、男性は加害者で、女性は被害者だという視点のみが強調されて浸透してしまった。その結果、男性のデメリットと女性のメリットだけが残ってしまった」と分析する。
竹中さんによると、就職や収入面での男女間の格差は是正されつつあるが、女性は男性におごってもらったり、結婚してより高収入の男性に生活を頼るなどの「うまみ」を手放していないという。「恋愛や結婚といった個人対個人の関係でも、女性は、男性が好む格好や行動を取ってもあくまで『待っている』のであり、デートの計画を立てたり、会計を担うなどの実質的な役割は男性に期待している。プロポーズにしても、女性からという話はいまだに少なく、女性に対して『どうプロポーズされたか』と聞くのが一般的だ」と指摘する。
毎日新聞 2009年2月19日 東京夕刊