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[米国]
「Google Street View」裁判、米国連邦地裁が原告の訴えを棄却
「不利益を被ったという明確な証拠がない」
(2009年02月19日)
Google Street Viewの画面。自動車のナンバー・プレートにはぼかしが入っているものの、判別できるケースも多い |
米国ペンシルバニア州に住む家族が、同家の外観写真を撮影し、地図情報サービスに使用したとして米国Googleを提訴した裁判で、西部ペンシルバニア州連邦地方裁は2月17日、「原告の訴えは明確な訴因に基づいていない」として、原告の訴えを棄却した。
2008年4月に提起された本裁判は、Googleの地図情報サービスに含まれる「Google Street View」で表示される路上写真を使う権利を巡るものとして、世間の注目を集めていた。
原告であるアーロン・ボーリング(Aaron Boring)氏とクリスティン・ボーリング(and Christine Boring)氏は、Googleが同氏らのプライバシーを侵害したこと、それにより不当に利益を得たこと、さらに自宅へ続く私道があるピッツバーグのボーリング家地所に不法侵入したことなどを理由に、賠償とGoogleの処罰を請求していた。
また、ボーリング家は、問題の地図サービスに使われていた写真の削除も請求していた。なお、Googleはこの請求には従っている。
一方で、Googleがボーリング家の地所の写真を地図サービスで二度と使用しないよう求めた差し止め命令は、同地裁のエイミー・レイノルズ・ヘイ(Amy Reynolds Hay)判事よって却下された。ヘイ判事は、「原告は証拠となる事実を提出するどころか、差し止め命令による救済を受ける十分な資格があることすら証明できなかった」と述べている。
Googleの広報担当者は、「Googleは今回の結果に満足している」との見解を示し、IDGニュース・サービスの取材に対し、メールで以下のように回答した。
「Googleは個人のプライバシーを尊重している。Street Viewでは、判別できる人間の顔や車のナンバー・プレートにはぼかしを入れ、だれでも使える削除ツールを用意して、ユーザーが任意の写真をStreet Viewに掲載し続けたいかどうかを決定できるように配慮している。これらのツールを利用する代わりに法的手段に訴えられたことは、実に残念だ」(Google広報担当者)
米国サンタクララ法科大学の準教授で、ハイテク法研究所所長も務めているエリック・ゴールドマン(Eric Goldman)氏は、判事の裁定は正しいと評価している。
Googleのドライバーが誤って私道に入り、写真を撮ったことが事実だとしても、原告には問題を解決するための選択肢が豊富に用意されている。この程度の問題に法的措置を取るのは、完全に過剰反応だ」(ゴールドマン氏)
なお、原告側弁護士のコメントは、まだ得られていない。
(Juan Carlos Perez/IDG News Serviceマイアミ支局)
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