現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 裁判
  5. 記事

拘束具で窒息死、和歌山県に5800万円賠償命じる判決(1/2ページ)

2009年2月18日18時49分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真判決後、記者会見する原告弁護団長の金子武嗣弁護士(左から2人目)ら=18日午後、大阪市北区の大阪司法記者クラブ、宮崎写す

写真死亡した男性容疑者に装着されたものと同型の防声具=原告弁護団提供

写真防声具

 和歌山東署の留置場で04年、口やあごを包む「防声具」などの拘束具を装着された男性容疑者(当時52)が窒息死した事件をめぐり、遺族が和歌山県と国に慰謝料など約1億1千万円の賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は18日、和歌山県に約5840万円の支払いを命じる判決を言い渡した。小野憲一裁判長は「拘束具の使用方法に誤りがあり、担当署員への教育義務も怠った」と判断した。

 遺族は、法務省が99年に刑務所や拘置所での防声具の使用を全面禁止したことから「警察庁も同様に禁止すべきだった」として国の責任も問うたが、判決は「警察の留置施設では、収容者を隔離する保護室の整備が十分でなく同一に解せない」とし、「防声具の危険性を考えれば将来的には使用を認めないのが望ましい」と言及した。

 判決によると、男性は居酒屋ののれんに火をつけた現住建造物等放火未遂容疑で逮捕され、同署に勾留(こうりゅう)中の04年4月20日午後9時半ごろ、大声を出したため署員から2種類の防声具を二重に装着されたほか、「鎮静衣」で体を縛られ、布団から頭だけを出した状態で寝かされた。翌21日午前0時50分ごろ、署員が防声具や鎮静衣を外そうとすると呼吸が止まっており、病院に運んだが窒息のためまもなく死亡した。

 判決は「防声具や鎮静衣は使用方法によっては命に危険があり、防声具の二重装着や鎮静衣との併用は警察庁の使用規定などに反する」と指摘。同署の当直責任者だった警部(60)、留置勤務員だった警部補(59)と巡査部長(48)の職務上の義務違反を認め、「使用方法の教養を受けさせていなかった」として当時の署長らの教育義務違反を認定した。

 警部ら3人は業務上過失致死の罪で略式起訴され、和歌山簡裁から04年10月に各罰金50万円の略式命令を受けた。県警は警部ら3人を減給、当時の署長を戒告の懲戒処分としている。

前ページ

  1. 1
  2. 2

次ページ

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内