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パキスタンとタリバーン、イスラム法適用条件に停戦合意

2009年2月16日21時16分

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 【イスラマバード=高野弦】イスラム原理主義勢力タリバーン系の武装勢力による攻撃が激化しているパキスタン北西辺境州のマラカンド地域で16日、州政府と武装勢力側が停戦に入ることで合意した。武装勢力側は合意にあたって、地域一帯でイスラム法を適用することを要求。州政府はザルダリ大統領の承認を得て同意した。

 イスラム法の適用は、テロが収まる気配がない中で政府が武装勢力側に屈したとも受け止められかねず、核保有国パキスタンでのイスラム原理主義の浸透を懸念する米国などの反発が予想される。

 合意では、双方のメンバーで構成する停戦の「監視チーム」を近く立ち上げ、イスラム法の適用は双方が武力を放棄したと同チームが認定した時点で始まる。イスラム法の適用は主に裁判にかかわる分野としているが、具体的にどこまで及ぶのかは明らかにされていない。

 停戦の対象はスワート地区など7地区を含むマラカンド地域で、武装勢力の主要拠点である部族地域に近い。マラカンド地域では、武装した学生が07年に首都イスラマバードの宗教施設に立てこもった事件以降、タリバーン系の武装組織による自爆テロが激化し、政府軍が掃討作戦を始めた。

 最も戦闘が激しいスワート地区では07年以降、約1200人の市民が犠牲に。最近も女子校が「反イスラム的だ」として放火、爆破されるなど治安は悪化する一方だった。今回の合意は、泥沼化を避けたい政府が妥協した結果とみられる。

 武装組織の報道官は地元メディアに「政府側がどの程度真剣に取り組むのか様子をみる」と発言し、状況によっては停戦合意を破棄する姿勢を示した。一方、ホティ州首相は「停戦が永久に続くことを望む」と語った。

 この地域では過去にも政府と武装勢力の間で、裁判などにイスラム法を適用する合意に達したことがあるが、政府が実行に移さずほごになった経緯がある。ホティ州首相は「イスラム法廷は(厳格な原理主義の)タリバーン法廷にはならない。現職の裁判官が執行することになるだろう」と話した。

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