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2009-02-16 17:39:09 stanford2008の投稿

桜井淳所長から東大大学院人文社会系研究科のH先生への質問 -神学研究の方法 12-

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H先生



聖書は、毎年、世界で、約4億冊弱も刊行されており、2377言語で表現されている史上最大の永遠のベストセラーです。それは、分かりやすく言えば、膨大な文献集であり、関心のあるひとでも新約聖書(新約の約とは神との約束・契約の意)の特に重要な部分の概要くらいしか読んでおらず、46冊からなる旧約聖書と27冊からなる新約聖書をすべて熟読しているひとは、その道の研究者のみで、旧約聖書をヘブライ語で、新約聖書をギリシャ語とヘブライ語で吟味しているひとは、その中でも少ないものと推察されます。私は、これまで、すべて熟読してきたわけではなく、いわんや、ヘブライ語とギリシャ語では読んでおらず、これからの作業になります。かなりの覚悟が必要になるものと思われますが、じっくりと腰を落ち着け、挑まなければなりません。体系は、いまさら書く必要はありませんが、問題を整理するために、改めて、ここに示しておきます。


旧約聖書の構成(いくつかの資料から引用)

(1)モーセ五書(モーセが記したとされる五書からなり、ユダヤ教の基本的な聖典となっている部分です。天地創造からモーセらがカナンの手前までやってくる旅の様子が描かれています。)

1-1創世記

1-2出エジプト記

1-3レビ記

1-4民数記

1-5申命記

(2)歴史書(カナン進攻からダビデ・ソロモンによるイスラエル王国の黄金時代、そして、バビロン捕囚からエルサレム帰還までの歴史が描かれています。)

2-1ヨシュア記

2-2土師記

2-3ルツ記

2-4サムエル記(上)

2-5サムエル記(下)

2-6列王記(上)

2-7列王記(下)

2-8歴代誌(上)

2-9歴代誌(下)

2-10エズラ記

2-11ネヘミヤ記

(3)知恵文学(明確には神との契約が見られない文献群です。人間そのものに関心を向け、人生のアドバイスや処世訓、愛や悲しみの歌等が収められいます。)

3-1ヨブ記

3-2詩編

3-3言

3-4コヘレトの言葉

3-5雅歌

3-6エステル記

3-7ダニエル記

3-8哀歌

(4)預言書(歴代の預言者が語った神の意思と預言者たちの行動、そして、苦悩が生々しく描かれています。)

4-1イザヤ書

4-2エレミヤ書

4-3エゼキエル書

4-4ホセア書

4-5ヨエル書

4-6アモス書

4-7オバデア書

4-8ヨナ書

4-9ミカ書

4-10ナホム書

4-11ハバクク書

4-12ゼファニア書

4-13ハガイ書

4-14ゼガリア書

4-15マラキ書


新約聖書の構成(いくつかの資料から引用)

(1)福音書(イエスの言葉と行動を、その死にいたるまで叙述する四つの文献群です。元来ひとつであるべきイエスの救い(福音)を異なる複数の視点から表現しています。)

1-1マタイ福音書

1-2マルコ福音書

1-3ルカ福音書

1-4ヨハネ福音書

(2)使徒言行録(前半で主としてペテロ、後半でパウロの人生を描くことで、イエス死後に行われた弟子達の伝道の様子を示した文献です。)

2-1使徒言行録

(3)パウロの書簡(パウロの伝道の生涯の中で記された書簡の文献です。)

3-1ローマの信徒への手紙

3-2コリントの信徒への手紙1

3-3コリントの信徒への手紙2

3-4ガラテヤの信徒への手紙

3-5エフェソの信徒への手紙

3-6フィリピの信徒への手紙

3-7コロサイの信徒への手紙

3-8サトリニケの信徒への手紙1

3-9サトリニケの信徒への手紙2

3-10テモテへの手紙1

3-11テモテへの手紙2

3-12テトスへの手紙

3-13フィレモンへの手紙

(4)公同書簡(12弟子が記したとされる書簡の文献ですが、実際には、1世紀末に記されたもので、必ずしも弟子が記したものではないとされています。)

4-1ヘブライ人への手紙

4-2ヤコブの手紙

4-3ペテロの手紙1

4-4ペテロの手紙2

4-5ヨハネの手紙1

4-6ヨハネの手紙2

4-7ヨハネの手紙3

4-8ユダの手紙

(5)ヨハネの黙示録(新約聖書唯一の預言書で、人類滅亡と最後の審判、さして、キリストの再臨を描いた内容になっています。)

5-1ヨハネの黙示録


ところで、昨晩、待望の梅原猛『梅原猛の授業-仏になろう-』(朝日新聞社、2006)を読んでみました。ずっと読みたいと思っていたのですが、入手する機会がなく、ついつい、遅れてしまいました。内容は、2005.4-8まで、一般聴衆を対象にした朝日カルチャセンター京都で実施したレクチャです。分かりやすく、大変面白い内容です。梅原先生は、仏教を学ぶということは、「仏になること」だと結論していますが、この仏とは、死ぬことではなくて、勉強して、修行して、如来や菩薩のように、釈迦、つまり仏様の認識に近づくことを意味しています(p.13)。先生にお会いした時にお話したように、それは、私の認識と同じです。私は、梅原先生が仏教界や日本宗教学会で、学問的にどのように評価されているのか知りません。たとえば、『謎の十字架』のように、仮説が目立ちますが、それは、あくまで、いまだに検証されていない単なる仮説なのでしょうか。梅原先生の著書は、学術書には分類されないような、言いっぱなしの、いわゆる世の中でいうところのエッセーと言うことでしょうか。むしろ先生にその評価をおうかがいしたいところです。いずれにせよ、梅原先生は、一般にも分かるように、大変興味深い視点から仏教を解説していることは、否定のしようもありません。著作集20冊も読んでみようと考えています。そして、梅原先生のように、神学や仏教を自由自在に、語ってみたいと念願しています。「十善戒について」(pp.78-105)や「六波羅蜜について」(pp.108-133)を読んでみると、仏教も聖書も同じようなことを論じており、それは、人間の好ましい言動や苦悩からの脱却を諭しているということではないでしょうか。



桜井淳

2009-02-15 13:36:11 stanford2008の投稿

桜井淳所長から東大大学院人文社会系研究科のH先生への質問 -神学研究の方法 11-

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H先生



長くその道で研究している研究者にとっては、すべて常識かも知れませんが、自然科学(物理学と電気工学)や基本的な哲学(プラトン・ダーウィン・ヘーゲル・マルクス等を中心とした人文社会科学)だけしか勉強してこなかった私が、神学や宗教にまったく関心を持っていなかった私が、先生の話を起点に、比較的短時間で、世界の現状を把握し、研究テーマを設けて、その道に入って行こうとしているのですから、実に乱暴な話です。残された時間がそう多くないため、無理を承知でやらなければなりませんが、毎日、講演の合間や移動の時間、自宅での休憩時間等を利用して、多くの文献に目をとおし、問題の整理に努めています。改めて、世界の宗教信者の分布を吟味してみると、意外と知らなかったことが多く、いくつかの例外はあるものの、一般論や傾向を示せば、次のようになるように思えます。(1)ユダヤ教がイスラエルだけというのも、(2)ヒンドゥー教がインドだけというのも、理解できるのですが、(3)中東・アフリカ・東アジアの一部の国でイスラーム教の信者が多く、それから、(4)英国を除くヨーロッパ先進国や中米・南米でキリスト教カトリック系、(5)英国と米国の大部分でキリスト教プロテスタント系、(6)旧ソ連邦でキリスト教ギリシャ正教系、(7)アジアは全体的に仏教(部分的に儒教)色が強く、意外だったのは(5)です。ヒンドゥー教では信者が牛肉を食することを禁止し、イスラーム教では豚肉、ユダヤ教ではラクダ・ウサギ・タヌキ・ワシ・ハヤブサ・トビ・フクロウ・ミミズク・ウナギ・タコ・イカ・エビ・貝類・ウニ・クジラとなっています。研究者は、信者でないため、どのような戒律があろうと、禁止事項があろうが、まったく関係なく、ただ、淡々と、研究対象を分析するだけのように受け止めていますが、禁止事項とは関係なく、私は、健康管理の都合から、食材には、特に、強い、こだわりを持っています。



桜井淳

2009-02-14 22:55:36 stanford2008の投稿

桜井淳所長の最近の講演内容-米原子力政策によってもたらされたプルトニウム利用技術の絞め殺し-

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【講演要旨】青森県下北半島六ヶ所村には、世界でも数少ない年間ウラン処理能力800tの核燃料処理工場が試運転中であり、近い将来、商業運転を開始することになりますが、私(桜井淳所長)は、阪神大震災のあった1995年の夏、耐震設計の現状調査のため、基礎工事が開始されて、まだ、鉄骨の組み立てが始まったばかりの核燃料再処理工場の建設現場を見学し、建設事務所で部長数名・副所長・所長相手に、世界の核燃料再処理工場の運転の現状と高燃焼度燃料の白金族元素の溶解の問題について質問等を行い、あわせて、ウラン濃縮工場の遠心分離器群を見学者用のガラス窓越に見学し、さらに、低レベルドラム缶廃棄物埋設施設や高レベルガラス固化体廃棄物管理棟を見学し(以上については『桜井淳著作集第3巻科学技術社会論ノート』参照)、さらに、確か、2006年の春、使用済み燃料の再処理を開始して2週間後に、再度、核燃料再処理工場の使用済み燃料貯蔵プールと50名の運転員等からなる中央制御室、再度、全体の流れの中で、ウラン濃縮工場と低レベルドラム缶廃棄物埋設施設、高レベルガラス固化体廃棄物管理棟を見学しましたが、核燃料再処理工場は、1993年4月28日に着工から、すでに、15年も経っており、建設費は、約2兆1900億円にも達し、建設に時間と費用がかかり過ぎ、いかに難しい技術であるか痛感するとともに、1977年に、米カーター政権による核不拡散政策によるプルトニウム利用技術の制限のため、制限というよりも、むしろ、絞め殺し政策に近い政策履行の中で、政策の影響は、1980年代後半から1990年代前半にかけて、欧州先進国の核燃料再処理工場の建設や建設中・試運転中・運転中の高速増殖炉が次々と閉鎖される中、英仏の商業用核燃料再処理工場だけが運転を継続し、これから日本で時期外れか何周遅れかのように核燃料再処理工場が商業運転を開始し、さらに、13年間も事故で停止し続けた高速増殖炉原型炉「もんじゅ」が性能運転を再開しようとしていますが(本欄バックナンバー参照)、世界の流れは、もはや、それらのプルトニウム利用技術の効果的利用にはなく、日本は、完全に、異次元のタイムスリップした世界に入り込んでおり、もはや、ジャック・スパロウのパイレーツ・オブ・カリビアン並みに信じがたい奇怪でおかしな妖怪の世界としか映りません。

2009-02-14 18:25:22 stanford2008の投稿

桜井淳所長の最近の講演内容-世界の原子力施設周辺で発生している小児白血病の本当の原因は何-

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【講演要旨】日本の事例については、反原子力を掲げている一部のひとたちによって指摘・議論されているだけで、原子力学会や原子力学会論文誌等の場での学術的な議論には、まったく、進展していませんが、世界の原子力施設周辺では、繰り返し、統計的に有意な小児白血病の発生事例が報告され、たとえば、英セラフィールド核燃料再処理工場や仏ラ・アーグ核燃料再処理工場、独原子力発電所の周辺等、そのつど、学術調査団が組織され、中には、政府系調査委員会も組織され、調査・検討されてきましたが、明確な根拠もなく、うやむやにされてきて、その繰り返しになっていますが、最近、独保健省調査委員会報告書で明らかになったように、原子力発電所の風下において、しかも、距離との相関で、小児白血病が発生しており、原因が何であるか、これまでの調査・検討では解明されていないため、これから、深く検討することになっていますが、これまでの報告内容からすれば、極めて深刻な状況にあり、世界は、この問題を曖昧にすべきではありません(桜井淳所長は、原子力の推進や反対の理由探しをしているわけではなく、研究者として、真実が何であるか知りたいだけです)。
2009-02-14 17:00:22 stanford2008の投稿

桜井淳所長から東大大学院人文社会系研究科のH先生への質問 -神学研究の方法 10-

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H先生



おそらく誰もがそうであるように、私も同様に、これまで世界の出来事のひとつとして中東で発生した問題を受け止めてきました。特に、歴史的な問題としては、イスラエルとパレスチナを中心としたいわゆるアラブ-イスラエル問題です。それから、最近では、イラクのフセイン大統領の独裁に対する米国を中心とした連合軍がしかけた湾岸戦争です。それから、2001.9.11を契機とした米国のタリバンつぶしを目的としたアフガニスタン戦争、さらに、テロ支援国家と大量破壊兵器保有疑惑の中で実施されたイラク戦争です。私が特に驚いたことは、湾岸戦争開始前、イスラエルは、イラクの建設中の原子炉施設を空爆・破壊したことです。普通だったら、それでは、絶対に済まず、必ず報復があるものですが、世界の政治バランスからでしょうが、何事も起こりませんでした。つい最近、イスラエルは、シリアの建設中の原子炉施設も空爆・破壊しました。やはり何事も起こりませんでした。湾岸戦争の開始直後、イラク軍は、クウェートに進攻しましたが、その時、フセイン大統領は、米国と世界に対し、「なぜ進攻してはいけないのか、我々のしたことが悪くて、なぜ、イスラエルのパレスチナ占拠が正当化されるのか」と主張しましたが、実に含蓄があり、また、矛盾の指摘です。中東というところは、奇々怪々のおばけ屋敷のようなところであって、世界の常識では、理解できそうもないように思えます。中東の政治・経済・科学技術・宗教が統一的に理解できたら、相当よく世の中を理解できているということでしょう。現実は、イスラエルとパレスチナの歴史的経緯や現状ですら、まともに説明できないひとたちぱかりですから・・・・・・。それにしても、イスラエルは、地下施設として、プルトニウム生産炉と核燃料再処理工場を保有しており、すでに、約200発の核兵器を保有しているとされていますが、キリスト教をはぐくんだ神の国で核兵器とは違和感のある話です。イスラーム教のイランも核兵器を準備中です。いかなる神も決して核を選択しないでしょう。政治家が神の意思に反しているのです。



桜井淳

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