金子氏は、さまざまな統計資料から、「結婚の効用」よりも「結婚のコスト」が重く意識されているため、結婚の魅力が低く評価され、人々の結婚への意欲が減退している現状を説明。未婚者の9割近くが「いずれ結婚するつもり」と答えているにもかかわらず晩婚化は進んでおり、とくに男性では生涯未婚率(50歳時点で1度も結婚したことのない人の割合)がすでに15%を突破。今後、男女共に急速な非婚化が見込まれ、少子化と人口減少・高齢化が加速するとともに、子供や家族をもたない人々がふえていく見通しを述べた。
3氏の報告を受け、宮島香澄PTメンバー(日本テレビ報道局解説委員)から、「男女の出会いの場を作るような政策」が可能か、また、それは有効か、という質問が出された。それに対して、山田氏は「出会いのサポート事業などは一定の有効性がある」と述べ、また山田氏と金子氏は「コミュニケーション力をつけるような教育」を行う必要について同意していた。
次に、勝間和代PTメンバー(経済評論家)から「結局、所得の再配分が少子化対策として有効ではないか」「さらに、それぞれの所得に応じた、きめ細かな少子化対策が必要ではないか」という意見が出された。それに対して、三浦氏から「若年層の正社員化を」という意見が出され、さらに山田氏からは「高齢層から若年層への所得の再配分を」「都市部と地方の格差も問題」という意見が出された。
また、松田茂樹PTメンバー(第一生命経済研究所主任研究員)からの、「団塊ジュニアの結婚・出産時期が過ぎるここ5年くらいの短期で、成果をあげる政策アイデアはないか」という質問に対しては、山田氏が「結婚したいという『需要』は多いのだから、結婚サポート事業などでその需要を掘り起こすこと」と述べたが、そうしたサービス事業が現実にはそれほど利用されていないことも認めていた。
それに続き、佐藤博樹PTメンバー(東京大学社会科学研究所教授)が「結婚について専門的サービスに頼ろうとする人が少ないとすれば、それはなぜなのか」と問うたのに対し、山田氏は「好きな人との劇的な出会いを期待するロマンチックな恋愛観が障害になっているのでは」「アメリカのような『カップル文化』では、パートナーがいないことが恥ずかしいので、とりあえずつき合い始める、ということがある」などの文化的要因に触れ、「せめて『婚活』は恥ずかしくないという人がふえてほしい」と述べた。
2009年2月11日