総社市と福山市神辺町を結び、第三セクターが運営する井原線（総延長４１・７キロ）は１１日、開業１０周年を迎えた。構想から４８年を経て１番列車が運行。以来１０年間で１１００万人超の乗客を運び、沿線住民の生活に無くてはならない「マイレール」として定着した。慢性的な赤字経営は続くが、運営を支える自治体や地域住民らは節目を機に、一層の飛躍を誓った。

　井原市七日市町の井原駅で記念式典があり、井原鉄道社長の滝本豊文市長が「１０年を区切りにさらなる利用促進に努めたい」とあいさつ。同社会長の石井正弘岡山県知事も「今後も皆さんの支援をいただきながら安全輸送に傾注する」と述べた。この日１０歳の誕生日を迎えた倉敷市立岡田小４年秋山未来さんが１日駅長を務め、満員の記念列車に出発進行の合図を送った。

　終日、全線で１回の乗車が１００円の「ワンコインデー」となり、午前９時半ごろから乗車率が２００％超となるなど普段の５倍の１万５０００人が利用。井原、矢掛、吉備真備駅では朝市が開かれ、総社、神辺、いずえ、子守唄（うた）の里高屋駅では甘酒や豚汁などが振る舞われ、多くの地域住民でにぎわった。