県は13日、5904億1600万円の09年度一般会計予算案を発表した。深刻な不況で法人税などが激減し、県税トータルで史上最悪の対前年度当初比17・1%減となる中、後で国が補てんしてくれる借金「臨時財政対策債」を102%増やし、予算額は3年ぶりにプラスに転じる0・04%増。今年度の国体経費分を差し引くと、1・2%増の積極予算となった。雇用対策の充実、県内業者が直接受注しやすい小規模な道路改良事業の拡大などが原因で、身の丈に合わせることより、カンフル剤効果を選択した形だ。広瀬勝貞知事も「持続的財政を考えると、毎年は組めない予算」と述べた。24日開会の定例県議会に提案される。【梅山崇】
生活の足となる民間バス路線維持に本格的に乗り出す。バス会社向けの国と県の制度は乗車人数の条件が厳しく、これまでは実質的に市町村が独自助成。しかし、大分バスが昨年12月、29路線の廃止を県に申し入れるなど、不採算路線の維持は厳しい。
このため、市町村に対し、新たにバス会社への助成を始めるか、助成額を増額した場合、新規・増額分の一部を県費でみることにした。補助率は複数市町村にまたがる路線の場合2分の1、単一の場合は3分の1。1047万円計上した県総合交通対策課は「市町村が思いきった増額ができるようになれば」と期待している。
一方、同課は10月、1173万円かけ、佐伯駅-大分空港のバス路線を開設。半年間、実証実験する。東九州道が延伸したのに路線バスすらなく、「高速によるアクセス改善を実感してもらおう」と計画した。実際、佐伯市民の6%が宮崎空港に流れるデータ(05年)もある。1日6往復で、所要100分。大分交通と大分バスの共同運行便で、片道2800円、往復5000円とする方向で検討中。
「就農の実証実験に」と豊後大野市三重町の農業大学校敷地にテストファームが設置される。5アールのハウス5棟を準備。規模は小さいが、農作業機使い放題で月1万円。既に新規就農の勉強を終えた人が対象で、次年度以降に本格展開するための課題などを探る。
せっかく農業の勉強を終えても、新規就農のリスクの大きさに不安を抱き、断念する人も少なくない。こうした声を聴き、実証農場を思いついた。県農山漁村・担い手支援課は「野菜生産の腕試しの場に」と期待。県OBらの相談役を置く。
就農者拡大では、県は労働力不足の農家と求職者をつなぐコーディネーター2人も採用。農業農村振興公社の無料職業紹介所に求職票を出した人を一本釣り。きめ細やかに働ける場につなげる。
漁獲量日本一(3133トン・06年)の割に知名度の低いタチウオを、マダイと並ぶ県産天然水産資源のエースにしようと、245万円かけ、大々的にセールスをかける。
これまで地味だった出荷箱に「The・おおいた」ブランドと明記。「知る人ぞ知る」でなく、「誰でも知る」に仕立てる。臼杵と国東が二大産地。福岡に大半が送られ、1キロ3000円もの高値で取引され、韓国に輸出されていたが、ウォン暴落を受け路線転換。東京、大阪への販路開拓にかける。
周産期医療の支援策に総額700万円を予算化し「周産期救急医療体制強化事業」を始める。各地で問題になっている妊婦の救急搬送に対応するため、統一的なルールをつくり、救急隊員の判断に委ねている現状を改善する。
もう一つの事業の柱が、新生児集中治療室(NICU)の病床確保だ。NICUは現在、県立病院9、大分大医学部付属病院6、アルメイダ病院と別府医療センターに各3の病床があるが、いつも満床近い。乳児の人工呼吸器をつけたままといった在宅移行について、親がためらうからだ。そこで看護師らのコーディネーターを5月にも配置。在宅移行の道筋をつける。
「オヤジの背中を見て育つ」は古い--。大分の父親が子育てに1日あたり23分しか費やさず、九州最低(全国平均31分)となっているのを受け、改善に取り組む企業に20万円が助成される。
社内風土を変えるセミナーでも業務改善システム開発でも、家族の職場見学会でも何でもOK。ノー残業デー設定など先進的な取り組みをする5事業所を選び、8月ごろ交付。周辺の事業所への波及効果も狙う。
育児休業など制度を設けても、男性利用者は少ないのが現状。新規事業が風穴を開けるか。
毎日新聞 2009年2月14日 地方版