49歳、子宮筋腫がありますが、閉経後にホルモン補充療法(HRT)は受けられますか? 筋腫は手術をすすめられていますが、職場の人手不足や娘の受験もあり、休みがとりにくい状況です。月経時の出血量の多さや貧血も悩みですが、閉経後は筋腫が小さくなるとも聞いているので、できれば手術しないで乗り切れればと思います。その場合、筋腫が残っているからHRTはできないと言われたらと、それも心配になります。
ホルモン補充療法(HRT)に詳しく、更年期女性を数多く診ている医師の意見によれば、子宮筋腫が比較的小さく、ほかに問題になるような症状がなければ、HRTを受けても大丈夫だそうです。ただし定期的に経過を見ていくことが大切で、場合によってはホルモン剤の量を半分にするなど、1人1人に合わせた対応もあります。いずれにせよ、医師と相談しながら進めていくことが必要です。
子宮筋腫は成人女性の3~4人に1人といわれるほど多くみられ、更年期女性からの質問や悩みもよく寄せられます。良性の腫瘍で、閉経すると小さくなる例もあるときくだけに、できれば手術はしたくないという気持ちになるのもわかります。ただし、大きさやできている部位、月経時の貧血、頻尿、便秘といった生活の質(QOL)を低下させる症状などによっても判断は違ってきます。
長年、子宮筋腫による不快な症状で悩まされてきたある更年期世代の女性は、卵巣と子宮を一緒に摘出する手術を受け、術後はエストロゲン単独のERT(子宮がないので、子宮体がん予防の黄体ホルモンは併用しなくてよい)を受けることで快適な生活を取り戻したという例もあります。
最近の子宮筋腫の治療は、開腹手術やピルによる症状の軽減以外にも、内視鏡や、費用は高いが切らずに治療できるFUS(集束超音波治療)やUAE(動脈塞栓術)など、情報が多様化していることも判断に迷うところです。それだけに1人で悩むのではなく、信頼できる婦人科医と相談しながら、何が自分にとって最もよい方法か、タイミングも含め総合的に考えて選択することが大切です。
女性の更年期は、職場では若い人の対応に気を使い、家庭では子どもの受験や就職、老親の介護、地域での役割など、人生の最盛期ともいえる多忙な時期です。しかも卵巣の働きが終わりに近づき、閉経を迎えると女性ホルモンが急激に減少する不安定な時期とも重なります。閉経後は骨粗しょう症やコレステロールの上昇、粘膜の乾燥、不眠やうつ、いらいらなどの症状も出やすくなります。人生90年に近い長い道のりを健康に歩んでいくために、上手に女性ホルモンを使いこなす治療法を含めて、正しい情報をもとに、自分に合った方法を選ぶ力も身につけていきたいものです。
回答者:安井禮子(NPO法人「メノポーズを考える会」更年期相談対話士、医療・健康ジャーナリスト)☆NPO法人「メノポーズを考える会」の電話相談(03・3351・8001)火曜・木曜の午前10時半~午後4時半。
2009年2月13日