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オバマ米大統領:中絶援助の規制解除 保守派と対立確実 署名は非公開

 【ワシントン及川正也】オバマ米大統領は23日、海外で人工妊娠中絶を実施、支援する非政府組織(NGO)への資金援助規制を解除する大統領令に署名した。ホワイトハウスが明らかにした。援助規制はブッシュ前大統領が01年1月に決定したが、オバマ大統領がこれを覆した形。大統領は先に女性の中絶権擁護の声明を出したが、これに反対する保守派との対立が深まるのは確実で、中絶論争が再燃する可能性もある。

 規制は、連邦政府から援助を受けるNGOに海外での人工妊娠中絶の実施や支援、相談などを禁じる内容。1984年に当時のレーガン大統領が導入。93年にクリントン元大統領が撤廃したが、ブッシュ前大統領が復活させる大統領令に署名した経緯があり、中絶問題をめぐる共和、民主両政権の対立を示すシンボルとなってきた。

 オバマ大統領は、女性の妊娠中絶の権利を認めた連邦最高裁判決(1973年)から36年にあたる22日の声明で「女性の選択する権利を守る」とする一方、中絶抑制に向けた避妊教育の充実策などを超党派で実施する意向を示していた。

 AP通信は23日、大統領令署名を受け、オバマ政権が、妊娠に関して女性の権利を尊重する国連人口基金(UNFPA)に対し、禁止されていた資金拠出を再開する見通しだと伝えた。

 オバマ大統領は22日、グアンタナモ基地のテロ拘束者収容所の1年以内の閉鎖を定めた大統領令の署名式の様子をメディアに公開したが、23日の大統領令署名は非公開だった。中絶問題は保守派とリベラル派が真っ向から対立し、「アメリカの分裂」を象徴するテーマだけに、世論の過剰な反応を招きたくないとの意向が働いたとみられる。

毎日新聞 2009年1月24日 東京夕刊

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