ココロを癒せば会社は伸びる

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【最終回】 2008年05月29日

「疲れたら休む」――あなたは会社の道具じゃない!

 EAPとは、従業員にとっては気持ちよく、元気に働くために必要な情報を得られるものであり、会社にとってはリスクマネジメントになることを、一人でも多くの経営者の方に気づいてほしいと思います。

“休む”ことの大切さ、
忘れていませんか?

 今、働く人の多くは“休む”ことの大切さを忘れているように思います。

 「休んでも、仕事がたまるだけだ」
 「休んだ分だけ、自分に跳ね返ってくる。休んでもムダだ」

と考えているのです。

 でも、従業員を大切に思うなら、1人が休んでも大丈夫なような組織にしていかなくてはいけません。80パーセントの力で働いていて、体調不良や不測の事態が起きたときには、きちんと対応できるようにする。ゆとりはムダなのではなくて、いい仕事をするために必要なものなのです。

 こんな話をすると、

 「そんな時間があるなら、もっと仕事をさせたほうがいい。稼働率100パーセント、120パーセントにするのがあなたの仕事でしょう」

とおっしゃる社長さんもいらっしゃいます。でも、私は、100パーセント、120パーセントの力で働き続けた従業員のみなさんがどうなってしまうかを、よく知っています。

 自分の力をフル稼動させるのではなく、高いパフォーマンスを継続させ維持できるよう、ストレスを解消する時間や、家族サービスをするゆとりをもつ。これは、人間らしい生活を立て直し、個としての能力を引き出すことにほかならないと思います。

 ですから、みなさんも、自分を会社の中の1つの道具や歯車として考えずに、「オレ流」「私流」というものをもって、仕事と個のバランスをとってください。

ココロのケアの主役は
あなた自身

 疲れたと思ったら休むのも、自分流です。そして、思い悩んだ結果、カウンセリングルームのドアをノックして、カウンセラーに助けを求めるのも、立派な自分流なのです。

 「働く人のココロのケア」の主役は「あなた」です。この連載をストレスで体調を悪くしながら読んでくださった人、組織をなんとかしたいと思って読んでくださった人、あなたの当事者意識が今を変える原動力になります。

 疲れて前に進むことも後ろに戻ることもできなくなったら、一度立ち止まってみてください。そして、今のあなたをありのままに受け入れるパートナーとして、あなたの可能性を信じるパートナーとして、すぐ横にいる私たち専門家の存在を思い出してください。

<連載終了>

関連キーワード:健康 組織・人事 メンタルヘルス 会社経営 企業

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執筆者プロフィル

写真:川西由美子

川西由美子
(EAP総研株式会社 代表取締役社長)

EAP業界の草分け的存在としてストレス対策に関するテレビ、ラジオ、雑誌のコーディネートをはじめ、企業内の「ココロの健康管理」に関する組織規約づくり、臨床心理士の派遣、社員教育などの講習活動を行っている。また、医療機関や健診機関との積極的な提携を行う一方、プロスポーツ選手などのメンタルトレーニングシステム開発などのメンタルヘルスケア産業の開拓を行っている。
URL: http://www.kawanishi-yumiko.com
URL: http://www.eapjp.com

この連載について

成果主義を採用する企業が増える中、一方でその弊害も出つつある。「心」のケアをおろそかにしないことこそが企業の活力の伸ばすポイントだ。