キヤノンの建設工事を巡る脱税事件で逮捕されたコンサルタント会社社長、大賀規久容疑者(65)は、自らが経営する「大光」グループに大分県警OBを少なくとも4人雇用していた。御手洗冨士夫・日本経団連会長来訪の際、警備計画に御手洗会長の意向を反映させるため、県警とのパイプ役が必要だったという。共謀容疑で逮捕された元県議会議長、長田助勝容疑者(80)や元国税局長といった有力者も多数迎え入れ信用力をアップ。幅広い人脈が急成長を後押しした。
■県警OB
「今後は警備の方を増やそうと思います」。県警OBは05年、大賀容疑者に誘われた。最初は大光でトラブル対策を担当(非常勤)。06年4月から約1年半、大分県由布市の会員制保養施設を管理・警備する「プライム・ヴィラ」(由布市)で総務部長を務めた。
脱税の舞台となった大分市の二つのキヤノン関連施設の警備を請け負ったのは大賀容疑者が社長の「デューク」(大分市)だった。関係者は「これまでに少なくとも4人の県警OBがグループ企業に就職した。警備指導や情報収集もあるが、大切なのは御手洗氏が来県する際の準備。経団連会長には警察の警備がつくので、事前に県警から予定を聞いたり逆に県警に御手洗氏側のスケジュールの変更や要望を伝えるなど、大賀容疑者は県警とのパイプ役を必要としていた」と語った。
■元県議会議長
長田容疑者は79年から07年まで7期連続で自民党の大分県議を務めた。95~97年に県議会議長を務める傍ら、90年代以降、大光取締役や建設関連会社「ライトブラック」(大分市)監査役などを務めた。親しい元県議によると、同様に共謀容疑で逮捕された長女の美穂容疑者(47)もグループの経理担当職員として勤務していたため、長田容疑者は「娘が大賀さんに世話になっている」と感謝していたという。
■元国税局長
建設関連会社「匠(たくみ)」(東京都千代田区)の監査役を務める谷※(やべ)龍二税理士は91~92年、熊本国税局長だった。谷※税理士によると、大賀容疑者とは同国税局長時代からの付き合い。役員になったのは「(大賀容疑者から)『名前を貸してほしい』と言われた」からという。
※立の下に口、右側は邑
毎日新聞 2009年2月12日 15時00分(最終更新 2月12日 15時16分)