《月と秋草》 1996(平成8)年 奈良県立万葉文化館蔵 © KAYAMA Inc.
《月と秋草》 1996(平成8)年 奈良県立万葉文化館蔵 © KAYAMA Inc.

第4章 花鳥画の世界

「いのち」のかたち

花鳥画は自然やそこに生きる生きものたちと、人間との語らいが紡ぎだす一編の詩のようなものです。画面に遊ぶ鳥たち、咲き誇る花々に、日本人は「いのち」の輝きと儚さへの想いを託してきました。そこには華やかさに満ちた喜び、 しみじみとした情緒、深い寂寥感に包まれた悲しみがあります。花鳥画は静物画でも、幻想絵画でも、図鑑でもない、生命体の存在する生きた空間だと加山は言います。金銀を多用した装飾的表現、色彩と墨を併用した華麗な表現のうちに、確かな「いのち」のかたちを加山は画面に印しています。

《夜桜》(部分) 1982(昭和57)年 光記念館蔵 © KAYAMA Inc.
《夜桜》(部分) 1982(昭和57)年 光記念館蔵 © KAYAMA Inc.

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