みなかみ町の東京電力小松発電所の西約3キロの林に10日朝、新日本ヘリコプター(東京都中央区)のヘリが不時着し乗員2人が重傷を負った事故で、静かな山あいの集落は騒然となった。周辺は広い範囲で一時停電、一部の小中学校で授業が中止になったほか、JR線が運休したりスキー場のリフト利用客が宙づりになるなど、大きな影響が出た。
停電は事故から約4時間後の午後2時10分過ぎに復旧した。この間、同町の小中学校4校と幼稚園2園で暖房が停止、給食の準備などもできなくなったため授業を中止し、児童・生徒は帰宅した。
JR上越線は沼田-土樽駅間で、上下2本を区間運休し約60人に影響した。国道17号など21カ所の信号機が点灯せず、一時警察官が交通整理に当たった。
県内のスキー場7カ所でリフトが一時停止し計約800人が宙づりになったが、けが人はなかった。
事故を目撃した近くの無職、石坂政子さん(69)は「ヘリは旋回すると思ったが落ちていった。気が動転した」と話す。一方、近くの工事現場で作業中だった沼田市上沼須町の会社員、原沢内匠さん(40)は「ヘリの部品のような物が飛んでいった」と話した。
国土交通省の運輸安全委員会の航空事故調査官は11日、操縦士の安東広壮さん(35)に事情を聴く。【松本時夫、鳥井真平】
毎日新聞 2009年2月11日 地方版