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大賀容疑者、御手洗会長の威光誇示 ゼネコンも恐れる

脱税の舞台となった大分キヤノン(左)と大分キヤノンマテリアル(右)と大光(手前中央の建物群の一部)(大分市で、本社ヘリから)=中嶋基樹撮影

 「キヤノンの工事は大賀社長を通すのが決まり事になっていた。求められれば、裏金でも支払わざるを得なかった」。キヤノンの工場新設工事を巡る法人税法違反事件で逮捕されたコンサルタント会社「大光」(大分市)社長・大賀規久容疑者(65)側に30億円以上のリベートを提供していた鹿島の幹部はこう証言した。

 下請け業者に過ぎない大賀容疑者が大手ゼネコンを恐れさせるほどになった力の源は、財界トップに上り詰めた御手洗冨士夫・キヤノン会長(73)の威光だった。

 「私は社員の結婚式には一切、出ないことにしていますが、新郎のおやじの友人として出席しました」

 大賀容疑者の知人によると、2003年5月に東京都心のホテルで開かれた結婚披露宴で、御手洗会長はこうあいさつした。当時はキヤノン社長に就任して9年目。新郎はキヤノンに勤めている大賀容疑者の長男だった。

 大賀容疑者は、御手洗会長との関係を「200年の仲」と称していた。大賀容疑者の親族らによると、両家はともに大分県佐伯市で江戸時代から続く旧家で、御手洗家は庄屋を務めたような家柄だという。

 ◆影のように

 御手洗会長の叔父でキヤノン創業者の毅・元会長(故人)と大賀容疑者の父親は親友で、御手洗会長は大賀容疑者の実兄と佐伯鶴城高の同級生。実兄は1961年、キヤノンの前身のキヤノンカメラに入社し、御手洗会長も同期だった。

 実兄は実家の工務店「日建」を継ぐため77年12月に退社するが、「退職後もアポなしで御手洗会長に会いに来ていた」(キヤノン元幹部)という。日建はキヤノン新宿本社の内装工事などを受注し、御手洗会長も91年に横浜市内の自宅を同社から購入した。

 初めは日建の社員だった大賀容疑者は、御手洗会長がゴルフをする時には予約や送迎を引き受け、地元・大分に帰ると移動用の高級車を用意。常に影のように付き添う大賀容疑者は、いつしか「会長の私設秘書」と見られるようになった。

2009年2月11日  読売新聞)
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