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【疑惑の濁流】“謎のルート”で工作船の待つ日本海側へ? 浮かび上がる拉致の「点と線」 (1/4ページ)
「大町ルート」。北朝鮮による拉致被害者を調べている「特定失踪者問題調査会」(荒木和博代表)が目を付ける不思議な道筋がある。千葉から、東京や埼玉、長野を経て日本海へと抜ける、かつて在日朝鮮人らが多く使っていた物流ルートのことだ。「失踪者が消息を絶った現場を地図上に落とすと、奇妙にも多くがルート上に重なる」(調査会)。終点は北朝鮮工作員の上陸ポイントが多数設定されていた日本海沿岸。この“点と線”は何を物語っているのか…。
太平洋側から失踪の謎…失踪者の3割がルート上
昭和37年4月、千葉県海上町(現旭市)の自宅から美容院に出かけたまま行方不明となった家事手伝い、加瀬テル子さん=失跡当時(17)=は、調査会が「拉致濃厚」とする失踪者だ。翌日には新宿コマ劇場へ観劇へ行く約束を叔母としていたといい、失踪時の所持金はパーマ代のみだった。
加瀬さんのほかにも、周辺では6件の失踪事案(未届も含む)があったことが調査会の調べで判明している。
だが、仮にこれらの失跡事案が拉致事件だとしても、海上交通量が多い太平洋側に、工作船が近づくことは事件発覚のリスクを伴う。そこで、調査会が立てた仮説が「太平洋側で拉致し、日本海側まで陸路で運ばれたとすれば、どのようなルートか」だった。
ヒントは、現地での聞き込み調査でみつかった。
「ここは水あめの産地で、在日朝鮮人の人々が多く従事していたんですよ」
現地調査の際、地元住民はこう説明したという。水あめは焼酎の味付けのため、日本海側から北朝鮮へ輸出されていた。そして、それらを日本海側まで運んだルートが「大町ルート」だった。
千葉を起点に東京や埼玉、山梨、ルート名ともなった長野・大町を経て、糸魚川付近で新潟、富山に分かれる。
新潟港は北朝鮮の貨客船、万景峰号が入港していたことで知られ、富山の氷見港にも、北朝鮮との間を往復する貨物船が頻繁に出入りしていた。