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【国際】

中国、チベット弾圧強化 来月10日、動乱50年

2009年2月8日 朝刊

 【北京=平岩勇司】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の亡命につながったチベット動乱から50年となる3月10日を前に、中国当局がチベット自治区などで弾圧や監視を強化していることが、現地関係者の話で分かった。市民らはチベット仏教の正月となる今月下旬に弾圧犠牲者の「喪に服す」行動を取り、抗議の意思を示す考え。3月10日には大規模な抗議行動や暴動が再燃する可能性もあり、現地の情勢は緊迫している。

 関係者によると、区都ラサ市では今年に入り、大量の監視カメラが増設され、重装備の武装警察が巡回。僧侶らの抗議行動が暴動に発展した昨年3月と同レベルの厳戒態勢を敷いている。

 1月には自治区東部の昌都県で「チベットに自由を」とスローガンを掲げた3人の若者が逮捕され、1人が取り調べ中に死亡。ダライ・ラマをしのぶ歌を聴いた女性が「反動的」と逮捕されるなど、大量の市民が拘束されているという。

 昨年の抗議行動で逮捕された市民も、見せしめ的に次々と実刑判決を受けている。抗議に参加した市民が射殺された四川省アバチベット族・チャン族自治州では、司法幹部の女性(30)が「暴動で死者が出た」と知人にメールを送ったことで懲役5年の判決を受けた。

 これに対しチベット市民らの間では、チベット仏教で正月となる今月25日、抗議のため新年を祝う行為を自粛する動きが進んでいる。アバ自治州では漢民族らの春節(旧正月)だった1月下旬、民族衣装を着た約1000人の市民が寺院で無言の座り込みをした。

 この動きを「敵対行為」とみなす当局は、チベット人居住地域で新年を祝う爆竹を無料で配り「新年を祝福しなければ拘束する」と指示した。

 

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