広島市は2日までに、広島大本部跡地(中区)の被爆建物の旧広島大理学部1号館について「想定以上の劣化が進んでいる」と判断し、全面的に活用する方針を事実上、断念した。一部保存の手法に切り替えて検討するとみられる。
市によると2007年春から昨年5月にかけ、本部跡地の再開発事業予定者として1号館の活用を検討したアーバンコーポレイション(中区)などが調査。鉄筋腐食やコンクリートの劣化・ひび割れが深刻化し、耐震性能が極めて低い状況が判明したという。
昨年8月のアーバン社の経営破綻などで跡地利用計画が白紙に戻ったのを受け、2日、市民団体が自然史博物館としての活用を市に要望。市側は「深刻な劣化が進み、市民が利用する施設の設置は厳しい」と明言した。建物を所有する国立大学財務・経営センター(千葉市)の意向を確認したうえで、最終的に方針を決める。
【写真説明】広島市が全面的な活用を事実上、断念した旧広島大理学部1号館=2日、広島市中区(撮影・天畠智則)
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