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ケイブの新川氏が『真・女神転生IMAGINE』運営の“舞台裏”を公開
【OGC 2009】

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●独自のツールを使用して公式サイトで何が見られているのかを調査する徹底した運営手法が明らかにされた

 

 オンラインを通じて集まった人を楽しませる、オンラインゲームとオンラインコミュニティサービスを扱った講演会が開催。ブロードバンド推進協議会は2009年2月5日、東京都千代田区のベルサール神田にて“オンラインゲーム&コミュニティサービス カンファレンス(OGC) 2009”を開催した。

 

 この講演会で、ケイブの新川はるか氏が“オンラインゲームの舞台裏”と題する講演を行い、同社が運営しているPC用オンラインゲーム『真・女神転生IMAGINE』の運営手法や考え方を披露した。
 

▲『真・女神転生IMAGINE』は、アトラスの『真・女神転生』シリーズの世界観とシステムをもとにしたオンラインゲーム。『真・女神転生』の東京大破壊後、『真・女神転生II』に至るまでの世界を舞台に、デビルバスターとして生活するMMO(多人数参加型)タイプのRPGだ。基本プレイ料金無料のアイテム課金制で運営されている。

 

▲新川氏は2008年10月に『真・女神転生IMAGINE』のプロジェクトマネージャーに就任した人物。おもにサービスの品質改善を担当し、開発マネージャーの寺本雅裕氏とともに同タイトルを牽引している。

 

  ケイブは`94年に設立されたゲームメーカー。家庭用ゲーム機やアーケード用のシューティングゲームに定評のある開発会社として知られていたが、アトラスとのライセンス契約に基づいて、『真・女神転生IMAGINE』を独自に開発。2007年4月4日にサービスインさせた。その後の約1年間でゲーム内容をハイスピードで拡大させ、多くのユーザーの獲得に成功。国内有数のオンラインゲームに育て上げた。

 

 新川氏はまず、『真・女神転生IMAGINE』ユーザーの男女比率を公開。男性が68.8パーセントで、女性が31.2パーセント(2008年7月のアンケート調査による)とのことだが、一般的に女性ユーザーは全体の1割から2割と言われるPC用オンラインゲームでは女性の比率が高い。新川氏は「ファンサイトやブログ、SNSなどを見る限り、このデータを上回っているほどに女性の比率が高いように体感している」とも語ったが、女性ユーザーの獲得に成功していることが同タイトル好調の一因であるようだ。

 

 年齢構成は、26歳から35歳が54.6パーセントともっとも多く、次いで21歳から25歳の18.8パーセント。20歳以下は12.5パーセントと少なく、年齢が比較的高めのユーザーに支持されていることが明らかにされた。新川氏はこの年齢構成を、アトラスの『真・女神転生』シリーズのファンがそのままユーザーになっていることによると分析。最近では『真・女神転生』シリーズから派生した『ペルソナ』シリーズが成功を収めているが、『ペルソナ』シリーズから入った若いユーザーへの認知が深まれば、『真・女神転生IMAGINE』のユーザーはさらに広がりを見せるのではないだろうか。

 

 プレイ頻度に関しては、“ほぼ毎日”が53.6パーセントともっとも多く、“週に4、5回”の17.6パーセント、“週に2、3回”の13.2パーセント、“週に1回”の5.2パーセントと続く。熱心なユーザーが多いことが裏付けられた結果となったが、新川氏は「週に1回でも楽しめるようなゲームにしていきたい」と、さらに幅広いユーザーが楽しめるタイトルにする意志を表明した。

 

 新川氏はオンラインゲームを「コンテンツとして売り切るものではなく、あくまでもサービス」として捉えており、そのためには人と話す共通のテーマになるような話題性、つねにほかのプレイヤーを意識させることから生じる持続性、幅広い層に浸透しやすいことが必要だと説く。具体的に、これまでの取り組みとしては、“デザインフェス08”、“思いっきり生討論”、“GAMERS HEART”などの施策を行ってきたことが紹介された。
 

デザインフェス08

イラスト投稿サイト、pixivとのコラボレーション企画。pixiv上で2008年9月18日〜2008年10月15日に『真・女神転生IMAGINE』のアバターアイテム(装備品)に関するイラストを募集。グランプリに輝いた作品は、実際にゲームに実装された。

 

おもいっきり生討論

2008年11月7日、ニコニコ動画に『真・女神転生IMAGINE』開発マネージャーの寺本雅裕氏が生出演し、ユーザーと討論を行うというかなり思い切った企画。新川氏は「次回同種の企画を行うとしたら、アップデート報告を動画で流す程度にしたい」とコメントした。

 

GAMERS HEART

一定期間キャンドルを使用して電気を節約することで、地球温暖化防止につなげる“100万人のキャンドルナイト”とのコラボレーション企画。『真・女神転生IMAGINE』の有料アイテムの売上の一部が寄付されるとともに、2008年6月19日から7月31日までの期間中、ゲーム内でキャンドルが灯された。新川氏によると、「同業他社さんから次回はいっしょにやらせてほしい」という依頼が複数あったという。

 


 また、新川氏は「現在発生している問題と対応策」として、いくつかの事例を公開した。そのひとつが公式サイトの表現方法についてだったが、新川氏たち運営チームは、公式サイトのどの部分がユーザーに見られているのかを独自のツールを使用して調査していることが明らかにされた。
 

▲赤く表示されている部分がよく見られている部分。左下に見られていない部分があり、「不要な情報が多いのも事実」(新川氏)だという。

 

 ゲーム内の経済に関して、無限に増殖する通貨をどのようにコントロールするのかも問題になっていることも表明された。ゲーム内で通貨が発行され、閉じた経済が営まれるオンラインゲームでは、日々ユーザーによって獲得される通貨の増加が問題となる。通貨が増えれば、物価が上昇するインフレを引き起こすことは明白で、新規のユーザーが物を購入しにくくなるなどの問題を引き起こす。通常、オンラインゲームでは、ユーザーに通貨を使ってもらうシステムを導入し、インフレを防止するが新川氏は「トレンドと消費サイクルを見極めつつ、気持ちよく使ってもらうにはどうしたらいいのかを考えたい」と、1歩踏み込んだ解決策を模索していることを匂わせた。

 

 もうひとつの問題は、規約違反に関すること。多くのオンラインゲームが問題点として抱えるRMT、ボット(不正ツール)の使用、不正な決済、業者の存在などに関することだ。新川氏は「いたちごっこという話もあるが、韓国では法による裁きが下された例もある」として、毅然とした態度で臨むことを表明。ユーザーに「いい世界にしましょう」と呼びかけることでユーザーがモラルハザードに陥ることを防ぐとともに、運営サイドが不正行為を追跡し、罰することで、正規のユーザーを守っていく決意が語られた。
 


  『真・女神転生IMAGINE』は多くのオンラインゲームの中でもとくに傑出した成功を収めているタイトルだ。それだけに厳しい視線にさらされる度合いも多いはずだ。新川氏たち運営チームの手腕に今後ますます注目が集まる。
 

※『真・女神転生IMAGINE』の公式サイトはこちら
※“OGC 2009”の公式サイトはこちら
 

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