地方議会が定例会の審議など活動内容を市民に報告する広報紙議会便りは、誰が作るべきか‐。みやま市議会でこんな論争が浮上し、約3カ月の検討を経て、編集を含むほとんどの業務を民間に委託する方針が決まった。筑後地区のほとんどの市では議会が作成しており、みやま市の変更は異例。議会の活性化や経費削減に逆行しかねない措置の背景には議員間の確執も垣間見える。 (大牟田支局・易永美香)
「みやま議会だより」は一部カラーのA4判10‐12ページ。年4回、定例会終了からほぼ1カ月後に発行される。内容は(1)議案や陳情内容(2)一般質問(3)委員会の活動報告(4)市民の意見‐の4分野。議会報編集特別委員会の委員9人が発行の度に集まり、原稿集めから紙面の点検まで行っている。
この運営方法について見直し協議が始まったのは昨年11月。内容や負担をめぐる委員の考えの違いに加え、同10月末に発行した第7号に誤りが見つかった。以前から「提出した原稿と掲載の内容が異なる部分がある」「一部の議員だけが作成に携わっている」との不満がくすぶっていた。
市議会は今月3日開かれた全員協議会で(1)現行の運営方法を継続(2)民間に委託(3)議会便りを廃止‐の3案について採決。委託派が多数だったが、継続派も数人いた。
牛嶋利三議長は「編集委員の主観が入りすぎており、委託することで公平になる」と委託の利点を強調する。しかし、報告を並べた紙面に、主観を強調した記述は多くない。編集委員の議員も「どこに問題があるのかきちんと示してほしい」と委託に反発する。
筑後地区9市の中で民間業者が作成しているのは久留米市議会のみ。1974年の創刊号から「議会事務局の負担軽減のため」委託してきたという。みやま市を除く残り7市議会では、議員で構成する委員会がすべて自前か、議会事務局の協力を得て編集・制作している。
みやま市議会は委託費約90万円を新年度予算に計上し、3月定例会後に発行する次回号から委託する予定。議会の活動が市民に十分伝わるのか、議員の手作りを超える内容が手元に届くのか、注目したい。
=2009/02/05付 西日本新聞朝刊=