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ヒトiPS細胞で脊損損傷治療 慶大、マウスで成功

2009年2月4日16時29分

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 人間の万能細胞(iPS細胞)からつくった神経幹細胞を脊髄(せきずい)損傷で後ろ脚がまひしたマウスに移植し、運動機能を改善することに、慶応大の岡野栄之教授と戸山芳昭教授のチームが成功した。対象がマウスとはいえ、人間のiPS細胞で治療効果を確認したのは世界で初めてだ。慶応大(東京・三田)で4日に開かれたシンポジウムで発表した。

 人間とマウスの神経細胞は分子構造や機能がよく似ていて、互いが結びついて神経回路を形成する。岡野教授らは京都大がつくった人間のiPS細胞から、神経細胞やその周辺組織のもとになる神経幹細胞を作製。脊髄損傷から9日目のマウス40匹に移植し、治療効果を調べた。実験には移植による拒絶反応を起こさない特殊なマウスを使った。

 すると、実験中にほかの病気などで死んだ11匹を除く29匹すべてが、1カ月半後には後ろ脚に体重をかけて歩き回るまでに回復した。

 解剖して調べたところ、神経組織が再生している様子が確認できた。移植した神経幹細胞の一部が神経細胞になったとみられるという。さらに神経細胞の細長く伸びた部分(神経線維)を覆って保護する組織も修復されており、このことも神経の機能の回復につながった可能性が高いとしている。

 岡野教授は、移植した神経幹細胞由来の細胞ががんになる危険がないかなど、長期の安全性確認が今後の課題とし、さらに研究を進める。(竹石涼子)

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