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新型インフルQ&A:肺炎併発を防ぐには?

 ◇セットで予防接種推奨 高齢者には費用助成も

 先月、東京都町田市の病院で起きたインフルエンザ集団感染。亡くなった3人は全員が肺炎を併発していた。世界で約4000万人の死者を出した1918年の新型インフルエンザ(スペインかぜ)も、死因の大半は2次感染による細菌性肺炎だったことが米陸軍の調査で分かっている。

 松本慶蔵・長崎大名誉教授(呼吸器感染症)によると、肺炎患者はインフルエンザを併発していることが多い。肺炎の原因の3~4割が肺炎球菌の感染である。インフルエンザウイルスが気管の細胞に感染すると、その細胞ははがれ肺炎球菌の排出作用が落ち、感染リスクが高まる。

 スウェーデンの研究チームはインフルエンザ、肺炎球菌の2種類のワクチンを接種した65歳以上では人口10万人当たりの死者が15・1人だったが、いずれも未接種の場合には2倍の34・7人になると分析した。データは01年の英医学誌「ランセット」に掲載され、世界はインフルエンザと肺炎の一体的な対策の重要性を認識した。米国では7割近くの国民が摂取するなど、世界では有効性を認めている国が多い。

 だが、日本では認可されているワクチンの種類が違い、安全性を確認する研究が少ないとして接種は1回に限られている。全身発疹(ほっしん)などの副作用もあって、接種が勧められる65歳以上の高齢者で5%程度(昨年末現在)の摂取率だ。

 肺炎はがん、心疾患、脳血管疾患に次いで日本人の死因の4位だ。松本さんは「ワクチンの効果は5年程度続く。高齢者には接種費用を助成する市町村もある。医療機関と相談し、接種を検討してほしい」と話す。【関東晋慈】

毎日新聞 2009年2月3日 東京朝刊

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