■ 氷点・4 ■ 20禁。パパ世代、サクモ×イルカ父。最後にサクモは自殺しますので死にネタです。 注意書きをもう一度。以下の項目に当てはまる方は絶対読まないで下さい。 ●妊娠中の方 ●健康に不安のある方(闘病中の方) (管理人も病人ですが書いている本人は毒を出せますので案外大丈夫なものです) ●鬱病治療中の方(特に初期、回復期にある方) ●過去いじめを経験された方 ●過去掲示板で「ネットいじめ」を経験された方 (フラッシュバックが来ると思います。危険です) 夜になって、死骨湖周辺地域には雪が降り出してきた。 昼間はあんなに晴れて暖かかったのに、今は牡丹雪の大雪だ。 あの儚く降り積もる見かけに反して、雪というものは悪魔だとよくわかっている サクモとクジラだが、 やはり雪の降る景色というものは美しい。 美しいものは、やはり、美しい。 「・・・・・・・綺麗なものだな・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・うん・・・・」 旅館の離れの部屋の雪見障子を上げたままにして、サクモとクジラはその夜もぴったりと 身体を寄せあい、抱き合い、愛し合っていた。 愛する人と二人きり、しかも外は雪。 これが普通の逢瀬ならば誰もが憧れる最高にロマンチックなシチュレーションだろう。 だが、今の二人にそんなロマンチックなムードを楽しむ余裕は全く無かった。 あの雪、あの雪が全ての元凶だった。 あの真白い、純白の、冷たい、何も言わず、ただ黙して静かに舞い降りる天使の羽のような 美しい雪が、大量の悪魔となって1年前のあの夜、サクモとクジラの命を奪いにかかったのだ。 あの時、雪すら降らなければ、二人はこんな破滅に追いやられることもなく、 密かに愛し合ってはいるものの、精神的な愛だけで十分満足し、互いを大事な『相棒』として 生涯死ぬまで一指も触れずプラトニックな関係で終っていただろう。 「・・・・・・・・なあ、うみの。お前の子供の頃の一番古い記憶って何だ?つまり、 生まれて最初に経験したことの中で覚えている記憶のことだよ」 「は?やぶからぼうに何だよ?子供の頃の最初の記憶?人生の最初の記憶ってことか? ううーーん、ちょっと待て・・・・・・ああ、そういえば不思議な光景を覚えている」 クジラを胸に抱きながら、その短く刈り込んだ黒髪を指で愛しげに梳きながら サクモがそんな不思議なことを聞いてくる。 睦言の一つかと思い、クジラはそんなサクモの胸の上で甘えながら記憶を辿って 喋り出す。 「・・・・どういうわけか昔から脳裏にこびり着いて離れないある『景色』だけは 子どもの頃からあったんだ・・・・ずっと夢かと思っていたんだけど、自覚したのは 3歳くらいの時かな?・・・こういう光景だよ。俺はどこかの白い部屋の中に 寝かされているみたいなんだ。そしてその白い部屋の窓には雪が降っているのが見える。 そして俺の周辺には 『人のような』 動く存在が居て、それは俺に優しいので俺は 「ああ、これは”いいもの”なんだな。もっとこっちに頻繁に来てくれないかな」 なんて思っているんだ。・・・その光景のことをアカデミーに上がる頃に母ちゃんに 話したことがある。すると母ちゃんは驚いて、『それはお前の生まれた日の光景に 違いない。お前は4月生まれだけど雪が降っていた。その白い部屋は木の葉病院の 新生児室に違いない』と言うんだよ。吃驚したなあ。後で木の葉病院の新生児室を 確認しに行ったら本当に俺の夢だとしか思っていなかった場所とまったく同じだった。 不思議な話だろ?・・・・・まだ生まれたばかりだし、目も開いてない筈なのに 産まれた時の記憶があるなんて・・・・・やっぱりただの勘違いかな?」 「フフフ、・・・いや、素敵な記憶じゃないか?そのお前の傍にいた人のような動く”いいもの” っていうのはたぶん看護婦さん達だな。生まれたばかりのお前の世話をし、可愛がって愛して くれた人がお前の回りにいっぱいいたんだ。・・・・お前は愛されて生まれてきた。 世界はお前にとっていいものであり、他人もいいもの、だった。祝福された誕生だった んだよ。・・・・とてもいい記憶だ」 「うん、そうかもな?・・・ところでお前のは?はたけ?」 「俺?俺か?・・・あははは。お前とは正反対だな。あんまりいい記憶じゃないし、 結構強烈なショックだった」 「何だよ?何か事件にでも巻き込まれたのか?確かお前が中忍に上がったのもカカシ君 ほどじゃないにしても早かった筈だけど・・・・」 「ああ、違う違う。忍者としての任務は全く関係ない。やっぱり3歳くらいの時かな? それとも2歳位の時だったかもしれない・・・・・・俺、『鏡』 が怖くて 母の嫁入り道具の立派な姿見を倒して壊してしまったことがあるんだ。それが人生最初の 記憶なんだ」 「は?鏡?鏡って、あの鏡?姿見?鏡台ってことか?なんで鏡なんかが怖かったんだ?」 「・・・子どもの頃、鏡を見るたびに不思議に思っていたんだ。最初はそこに『自分』が 映っているとは気づかなかった。だか、鏡の中の『何か』は俺が手を動かすと同じように 手を動かすし、俺を首を振ると同じように首を振る。そして俺は突如気付いた。 これは自分だ、と。これが自分だ、と。それはたまらない恐怖だった。 俺はそこに俺自身が存在していることに恐怖し、絶望し、気が狂いそうなほどに怯え、 思わず鏡を破壊していた・・・・・・・」 「・・・・・・な、なん・・・・・・すごい話だけど、でもよくわからないよ?鏡に自分が 写るなんて当たり前じゃないか?何がそんなにショックだったんだ?」 「今思えばたぶん自分が自分でしか無いことに恐怖したんだと思う。まだその年齢の 子どもは自我が確立してないからな。自分、というものが無いのさ。だが、鏡に映った 自分をそこに見た途端、俺は完璧だった世界から切り離されたと悟ったんだ。 俺はもうこの世の一部ではない。俺はたった一人、ただ一人でここに生きているのだ、と。 大好きな母親も、お気入りのぬいぐるみも”自分”ではなかった。あの青い空も 木木の緑も、花も、美味しいお菓子も、自分の一部ではなかった。俺は世界に 一人きり、独りきりだと知った・・・・・・衝撃だったな」 「・・・・・・す、すごい哲学的な話だな。うーーん、でもわかる気もする。 重度の自閉症児の場合、自己と他者が区別できず、空も海も山も椅子も机も他人も誰もかも 自我の延長線状にあると認識しているから自分の思い通りに運ばないとパニックに なるが、それを彷彿させる話というか・・・・・」 「あはは、ただの話だよ。そこまで考えなくても?これだから元アカデミーの先生は頭でっかち で困る」 「笑うな!人が真剣に考えてやっているのに!」 ふくれっつらをぷう、と作るクジラのまあるい可愛いほっぺを指でツンツンと突いてから、 サクモはやはり愛しげにその頬にキスしてくる。 それが嬉しくてクジラもサクモの頬にちゅ、とキスし、そして再びぎゅうと強く互いを 抱き締め合う。 「・・・・・・・・・・今ごろ、里はどうなっているだろう?」 「・・・・・・・・・・大丈夫さ、しめ縄と三代目がしっかりやってくれる・・・」 「うん、でも・・・・・・あの誹謗中傷の掲示板は今頃・・・・・・」 「ほっとけばいい。今ごろ奴ら自分たちの犯罪が白昼の元に暴露されて焦っているだろう。 それこそ必死で俺の悪口を書き込み、あることないこと書いて俺に責任転嫁してくる だろう。・・・でも、大丈夫だ。確かに皆見て見ぬフリだった木の葉の闇の部分に あえて斬り込んでしまったし、上忍達の間ではいい迷惑だ、寝た子を起こすな、 と俺を非難する者もいるだろうが、味方になってくれる上忍も大勢居る。 上忍達はほとんどあのいじめ掲示板の存在を知って無視する戦略をとっていたが、 それは勿論正しい。知っていて知らぬフリをするのが一番だ。あんな奴ら 相手にするだけ時間の無駄だ。だが、全く知らないのはもっと危険だ。 中忍、下忍の仲間たちの大半はあそこの 存在を知らず、突如再起不能まで誹謗中傷の集中砲火を浴び、自分が知らぬうちに ありもしない罪をなすりつけられて噂を流されていたりする。そしてネットいじめの 事実を漸く知った時は既に全ては手遅れ、ショックで任務復帰もままならない。 だから俺はあえてあいつらの標的になる覚悟を決めた。徹底的に無視するのも 戦略だが、あえて火に油を注ぎ、堂々と大騒ぎにしてあの掲示板の存在を知らしめることを 選んだ。俺の場合は犯人は特定されているし、非常にラッキーなケースだ。 俺はもう離婚もしたし、カカシも独立してる・・・お前ともこうなれたし 思い残すことはもう無いよ・・・・・・・・・」 「・・・・はたけ!・・・・・そんな遺言みたいなことを言わないでくれ!」 もうとっくに覚悟を決めている、と言うサクモにたまらなくなってクジラは泣きながら強く 抱きついてしまう。 サクモを失うなんて耐えられない。 忍者は忍耐するのが仕事だが、耐えることなんかできない! 「あははは・・・・泣くな、泣くなって・・・心配いらない。しめ縄が上手くやって くれるさ。犯人どもは今も夜も寝ずに必死であそこに誹謗中傷を書き込んでいる だろう。その間、俺達がこうして温泉につかり、美味い料理を食べ、愛する相手と 日々イチャパラしているのに比べて、馬鹿なものさ・・・・・・」 「はたけ、はたけ、はたけ!」 「さあ、もう一度愛し合おう・・・・・あの夜みたく、上になってくれないか? 愛しているよ・・・愛しているよ、クジラ、お前だけだ。お前だけを愛している。 お前のためならどんなことでもする。いつでも死ねるくらい愛しているよ・・・・」 「サクモ、サクモ・・・・!俺だって!俺だって!愛している!愛している!」 泣きながら激しい口づけを交わして、クジラがサクモの腰の上に乗り上げる。 どっくに熱く勃起していたサクモの雄を後手に掴み、腰を浮かせて自身の蕾まで 導くとそこに一気に体重を落とした。 「ああっ!」 「・・!はぁっ・・・・大丈夫か?・・・うみの・・・・」 「・・へ、へいき・・・・・・動くぞ・・・・・・」 「ああ・・・・・頼む。是非とも激しくお願いします」 「馬鹿」 微笑みあって、クジラは愛する男の身体の上でゆるゆると腰を使い出す。 最初はゆっくりとしたペースで、自分の粘膜でサクモのものを上下に絞り上げるように、 大きく円をえがくように、左右に振るように・・・・ そのクジラの動きに合わせて楽しそうに微笑みながらサクモも又、自分の目の前で 自分の動きに揺れるクジラの性器を握ってやり、巧みな愛撫を加え始める。 「ア・・・ああっ!・・・・」 「ああ、・・・うみの、お前凄いよ・・・すんごいエロい光景・・・・興奮する、 たまんないな・・・・」 「ア・・・・ああ・・・・・・・・はたけ、・・・サクモ・・・・」 サクモの指による前の刺激も同時に受けて、我慢できなくなったクジラの腰の動きが 激しくなり、快楽は更に強く、ピッチを上げていく。 クジラはもう自分の快楽を追うことに夢中になり、先ほどまでのサクモに奉仕するような 動きを止め、自分の恥骨の裏の前立腺のいい所に必死でサクモの逞しくて堅いモノを 押しつけ擦りつけてくる。 「あ!ああ!サクモ!もおっ!」 「クジラ・・・・!」 もう自分では、と限界を訴えたクジラの体を今度は自分の体の下に組敷き、体位を変えて サクモが今度は主導権をとってクジラの身体の真ん中に己の全体重と情熱を かけて突き上げ、穿ち続けてくる。 そんなサクモの熱が、自分の深い所に確かに存在してくれる愛する男の肉の一部が 躍動しているのが嬉しくて、クジラは泣きながら喘ぎ、嬌声を上げ、乱れるだけ乱れ、 ヨガり、サクモの白い陶器のように透き通った背中に血の滲むほど爪を立てる。 「あ!・・・・ヒ!・・・ひぅ!・・・さ、サク・・・ぁ!・・・アアアっ!!!」 「・・・・・・ッッッッ!!!」 何の余裕も駆け引きもなく、一気に二人で頂点まで駆け上がり、快楽が爆発する。 ほぼ同時の絶頂、ビクンビクンと互いに絶頂に震える何度も何度もやってくる 快楽の波が大きすぎて、二人ともその瞬間は瞼の裏が真っ白になり、 声も出ない。 お互いもう37歳で決して若くないのに貪っても貪っても充足するということがない。 何度も何度も次が欲しい。 もっと欲しい。 もっと互いが欲しくてたまらなかった。 互いの欲望は萎えることを知らず、イってもイっても尚も擡げてくる飽くことのない 肉欲は快感を通り越して地獄の責苦のように永遠に続くかのように思われた。 *** 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!: 過疎でdat落ちしててしばらく立てなくていいかにょ目ぼしい弗もいないにょな っていう流れになったのに自らサイトで吼えてヲチヌレ復活させたのは他ならぬ白牙タンにょ 本当に何がしたいんだにょ更年期ですかにょ 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!: ヲチヌレなくなったらジエンで立てたんじゃね? 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!: ヌレが(落ちたり)静かになると「アテクシを忘れないで!!」とばかりに踊り出すのが$ $マニュアルでもあんのかと思える程行動が似てるのは何故だろうにょ… 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!: 漏れのねさるチョトイ多だからヲチヌレなくなって安心してたにょに… なんてことしてくれたんだにょ白牙タン もう故意としかももえないにょ ねさるが目障りだからヲチられてることを知らせて撤退させたいか ヲチられてることをネタにねさるに近づきたいか ヲチャと戦うアテクシを周りにちやほやされたいか 以外に理由なんてあるかにょ? 少なくともこの流れを見てるシトは白牙タンが賢明なシトだとはももわないでしょうにょ 「やっぱりサクモさんに責任転嫁してきやがった!!こいつら自分達を何様だと思って いるんだ?!始めからスレッドを二重構造に してあってどっちでも誹謗中傷していたくせに!!! そもそもお前たちがこんな誹謗中傷を続けているのが問題じゃないか! 自分のことを棚に上げるとはこのことだ!」 ログを確認しながら怒り心頭の四代目火影波風ミナトは相変わらずだが、 その隣で相変わらずパイプをくゆらせている三代目火影、猿飛は冷静だった。 「落ち着けぃ、しめ縄・・・・とにかく貴重な「証拠」じゃ。しっかりログを保存するのじゃ。 言わせるだけ言わせておけい。踊らせるだけ踊らせるのじゃ。 焦れば焦るほど自滅する。犯人はもう今は気も狂わんばかりじゃろうの・・・なにせ 自分が身バレしていることは本人自身が一番よくわかっておるだろうからな。 この裏スレッドの方には犯人の本音がしっかり書かれておるわい・・・・・」 名無し草: こっちは過疎にょ 訴えられるかも試練にょにのうしてあんなに真紀子できるのかにょ(;´з`) 漏れ掃除機gkbrにょ… 名無し草: バビらいじょうぶかにょ? 漏れ自業自得とはいえヌゲー心配にょ 名無し草: もまいはここに来ないほうがいいにょ 「・・・・・・・・そうじゃ、こない方が良い。もはや手遅れじゃがな」 *** そもそもサクモとクジラの秘密の恋愛、不倫が露見したのはこの雪の国で二人が 着任したある任務がきっかけだった。 雪の国は平素は平和なその名の通り雪深い貧しい国だが、北端の国境の山岳地帯の 領土権を隣国の金の国と長年争っており、鹿も熊も歩かない極寒の高原地帯一帯が まるまる前線、戦場となって久しかった。 1年前の冬、金の国の部隊が雪の国の主張している領土、つまり国境を超え、 近隣の村の住民を人質にして立てこもり、女子供含めて350人もの 罪なき人々を次々惨殺していく、という事件が起きた。 雪の国はたまらず木の葉に応援を依頼した。 しかし、相手は金の国の精鋭部隊1000人、しかも素人の人質をまだ300人も 捕らえたまま領土権を人質の命と引き換えに要求してきている。 救出任務は困難を極めると当然予想され、木の葉忍者のナンバーツー、 はたけサクモが救出部隊の隊長を任命され、サクモの相棒の上忍うみのクジラを含め、 木の葉せも精鋭を集めた救出部隊が結成された。 任務ランクは当然Aランク、以来料金は1千万両の大仕事、”戦争”協力依頼だからだ。 300人もの一般市民(女子供を含めて)をどうやって無事救出するか、 当初はこの任務の成功は不可能にすら思えた。 どう考えても無謀だからだ。 三代目火影は依頼を断る方針をまずは考えたが、人道的に言っても今度の事件は 絶対に許し難い。 四代目火影に内定している黄色い閃光、通称しめ縄、波風ミナトが「自分が 行きますか?」と申し出たが、三代目は自里の警備が手薄になることを恐れた。 ミナトの存在は木の葉の切り札だ。 黄色い閃光、が木の葉の里に居るだけで、他里は怖くて手が出せない。 最悪本音を言えば、政治的見地、大局的見地からも他国の住民の女子供350人 が殺されようが助かろうが、火の国にしてみればそんなことは関係ない。 まずは自国の安全が第一の今、他国の住民のために貴重な戦力を削ぐわけには いかなかった。 戦争協力依頼金がいかに破格なものであろうとも、金なんぞどうでもいいのだ。 よって、三代目は上忍はたけサクモに任務を承諾するか、一応問うてみた。 サクモは任務を受けることを了承した。 サクモは人命がかかっているとはいえ、勝算もない無謀な戦いを挑んだりはしない。 100%勝てると判断できる相手としか戦わないからこそ木の葉は無敵なのだから。 勝てない戦は始めからしない。 その経験豊富なサクモが忍者として「勝てる」と判断したので、三代目はサクモを信頼し、 木の葉の精鋭12人を組織して雪の国へと送り込んだ。 しかし、任務は見事、失敗した。 木の葉の仲間一人が血気に走り、サクモの命令を無視してサクモが緻密に計算していた 救出作戦を台無しにしてしまったのだ。 金の国の部隊に手の内を全て悟られてしまったサクモ達木の葉の12人の部隊は 雪の国山岳地帯に追い詰められ、任務失敗を判断したサクモの命令でまずは 負傷した木の葉の仲間から里に戻すために隊長のサクモと相棒のクジラが囮と なって雪の国に残った。 サクモに命を救われた木の葉の仲間は涙ながらにサクモに感謝し、謝罪しつつ、 命からがら無事、里に戻ることができた。 だが、サクモとクジラの二人は雪深い山奥の洞窟に潜伏したまま仲間を逃がすための 疲労でチャクラ切れ寸前の危篤状態に陥ってしまった。 雪の国の冬の過酷な寒さと大雪も禍した。 いつもならラクラク風のように撤退できるものを、運悪く見舞われた猛吹雪で 退路を絶たれてしまったのだ。 結局人質350人は全員惨殺され、雪の国が人命よりも領土の保全を選んだ事実に サクモとクジラともにうちひしがれ、失意のどん底にあり、モチベーションも落ちていた 要因も大きい。 何もかも雪の所為だった。 二人の前に立ちふさがる白い、美しい、圧倒的な暴力と威力を誇る、ただの美しい雪。 その雪が二人の破滅を導いた。 負傷し、洞窟の中に2週間潜伏し、もうサクモの体力もチャクラももたない、という 事態になって、クジラはとうとう決断を下した。 サクモの忍犬を呼び出し、木の葉に救出部隊を要請しよう、と。 しかし、サクモ自身にはもうチャクラが0に近かったし、クジラが口寄せをするしか なかった。 だが、サクモの忍犬達は「はたけ」の一族としか契約を結ばす、命令もきかない。 だからクジラはサクモの「親族」となることを決断した。 つまり、サクモと寝て、セックスして、契りを結び、妻や子と同然の恋人、となり、 忍犬を呼び出したのだ。 そして、パックンはいつものように突如「口寄せ」で呼び寄せられた。 だが、パックンが口寄せされた場所はなんと猛吹雪の吹きすさぶ氷点下の激寒の冬山の洞窟内らしく、 「口寄せ」したのもご主人様のサクモでは無かったらパックンはもう唖然、だった。 「く、クジラ殿?わしを呼び出したのはクジラ殿、か?」 主人のサクモの10年来の相棒で「幻術使い」のうみのクジラはパックンも今まで何度も 会っており、当然一緒の任務に就いたこともあるが、だが、今回の事態はもはや尋常ではない。 洞窟の地獄のように冷えた内部の奥ではサクモがチャクラ切れを起こし、寝袋の中で 瀕死の状態で横たわっているのが見えたし、何よりもパックンを愕然、とさせたのは クジラの体からプンプンと臭う「サクモの体臭」が強烈だったからだ。 いや、はっきり言おう。 ぴっちりと忍服を着こみ、冬のぶ厚いコートに身を包んでいるが、クジラの腰のあたりから しっかりと、「サクモの精液」 の濃い雄の欲の匂いがするのだ。 パックンはその匂いだけで何もかもを悟り、慄然とした。 200年の自分の生の中で「恐ろしい」などと一度も感じたことはない勇敢な忍犬である パックンでさえも思わず震え出してしまうほどそれは恐ろしい事態だった。 なんということか、ご主人のサクモは遂にクジラ殿と・・・・! 「俺がお前を呼び出せたということは・・・つまりそういうことだよ、パックン。だが、 事態は一刻の猶予もならない。サクモは死にかけている。大至急里に走って救援を要請して 欲しい。・・・俺のチャクラももう無い。お前を呼ぶだめに使い果たした・・・」 「承知!!!」 パックンは悲壮な決意で頷くと、猛吹雪の吹きすさぶ、真っ白な雪に閉ざされ視界ゼロの 雪山に自分の鼻だけを頼りに勇敢にも飛び出していった。 「・・・・・・・ふう、パックンが行ってくれたよ。はたけ・・・・俺達の命はもうあの犬に かかっている・・・・・」 「・・・・・・・・」 もはや答えを返す気力も無いサクモがうっすらと薄めを開け、それでも「恋人」のクジラに 傍に来て欲しい、と目線だけで求めてくる。 だからクジラはそのサクモの体を温めるようにそっと自分のそれを重ねると、愛しい 男の胸の中に顔を埋めて、そして、静かに嗚咽し始めた。 「・・・・なぜ・・・・・?・・・泣くんだ?・・・うみの・・・・・?」 「俺達はもうお終いだ!・・・・とうとう、とうとう禁忌を犯した!俺達は地獄に堕ちる!」 だが、サクモはそれでも笑って、涙さえ凍らせて泣くクジラの頬をほとんど動かない右手で優しく撫で上げる。 「泣くな・・・・うみの・・・・泣くな・・・・お前は何の 『罪』 も犯していない。 お前は俺を愛しただけだ。地獄に堕ちるのは俺だけでいい・・・・・お前は生きろ」 「俺もお前と一緒に死ぬ!!!」 「ダメだ・・・・・・・」 「愛してるんだ!サクモ!愛しているんだよ!!!」 「俺も愛しているよ・・・・」 号泣するイルカの父、クジラと、カカシの父、サクモのラストシーン、 その悲劇の真相に立ち会ったのはパックンただ一匹だった。 ■その5へつづく ■サイトトップに戻る 2009.2.1 |